中編3
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身代り

「小学校の修学旅行で買ったものなんだけどね」

彼はポケットから、…何かはわからないけど、綺麗な白濁色の石のキーホルダーを取り出して見せた。

「綺麗だろ?オレのお気に入りなんだ(笑)

ただ…前はもっと、透き通るような…透明な石だったんだ」

そう言うと彼は語り始めた。

「オレさ、18の夏頃、少しだけ遊びまくってた時期があったんさ。

もちろん家になんて帰らなかったよ(笑)

花火したり、海で泳いだり飲んだり、まぁナンパは成功しなかったけどさ(笑)

んでな、夏も終わりだし、何か伝説…と言うか思い出だな。思い出作りをしようってことになってさ。

ある心霊スポットに向かったんさ…」

メンバーは

免許持ちで親がアマアマ、親の車乗り回しまくりのA

チョット頭が弱くてオレにライバル心燃やしてたB

Aの彼女のC子

向かった先はそこら近辺じゃ有名な、○○市民の森

森というより林な感じの、緑溢れる広場だ。

日中は市民の集う憩いの場。まさに「市民の森」なわけだ。

…だかそこは、陽が落ちると裏の「シミン」が顔を出す場所でもある、と。

(なんでも、裏手に殉職者やらの祠だか社だかがあるとか)

「深夜一時の中頃、オレ等はそこについたんさ。

回りは林と果樹園とかで、なんか『いかにも』なかんじだったよ……」

………肌寒い。

夏も終わり、といってもまだ9月。

この前夏休みが終わったばかりで、まだまだ夜は寝苦しい。そんな日々のなか、この一角は、違う空気を発していた。

さっきまで乗り気だった皆も、空気の変化に気付いたのか外に出ようとしない。

「早くいこうよ。ラチあかんし」

オレは少しビビリながらも、この押し黙った雰囲気がに耐えられず口を開いた。

「はぁ?フザケンナ、オレはヤだよ!お前が行けよ!!!」

キレ口調で返すのはA。彼女の前だというのにビビリ気味でオレに言う。

オレは腹が立ち

「ビビリは黙ってまってな(笑)」

とだけ放ち、林の獣道に入っていった。

二分ほど歩くと、道はなくなって、すでに回りに光源はない。

遥か後ろに入り口が見える。

頼りは木々の間からみえる月明かりと、握り締めた懐中電灯。

「ほんと…もう逃げたい…」

独り言も虚しく響き、更に「孤独」を意識させる。

「……ぃ……ぉ…い」

前方から何か声がする。

「ぉぉ…ぃ、ぉ〜い」

…?呼んでる?

誰が?あいつらか?

後ろには何も変わったことはない。第一何かあったらケータイにかけるはず。

「誰か……いるんですかぁ…?……なんてな居たら逆に怖いだろ(苦笑)」

「おいっ」

鳥肌がたった。

耳の、いや、顔のすぐ右側から声がしたのだ。

反射的に身を引き、右を見る。

社だ。

?????

一瞬放心し、ハッと我に帰り、先ほどの声を思い出した。

先ほどまで自分がいた場所を見ると…

なにか…影のような…

細長い、うにうにうごめく何かが『居た』のだ。

「玉さえ……」

ソレは何か言っていたみたいだったが

直感で「引き込まれるっ!」と感じたオレは、道無き道を猛ダッシュで引き返した。

車に着いたオレの言葉にできない、慌てた様子に少し戸惑ったが、Aはハッとした後、何も言わず急いで車を出した。

帰り途中、Aはゆっくり口を開いた。

「…お前、大丈夫か?」

いきなりの質問に言葉につまった。

「お前が出てきた所から人影みたいのがいっぱい出てきたぞ」

絶句

あそこで逃げてなきゃ…オレはどうなっていたんだろう?

………

「んで、家に帰って落ち着いて服を見たら右側だけ妙に汚れてんだよな。

いつもジーパンの右につけてる『コレ』の周り以外」

「まぢですか。つまりその件が石の色の変わった原因だと」

「そ。そういうこと(笑)因みにそのあとAは何回か見通しのいい一本道で仕事って廃車にしてる」

「ぇえっ!?…で、でもよかったですね。それもってなかったらどうなっていたんだか」

「…どうだろうね」

「えっ?」

「見てごらん…ここ。

ヒビ入ってるの…解る?」

「…あっ!」

「あの日を境にこの石に起きた変化は色だけじゃないんだよね」

「ちょ…コレって…不味くないですか…?」

「もうすぐ割れちゃうっぽいよね」

ミシッ

暗い闇と心臓の音がボクを支配した。

怖い話投稿:ホラーテラー ダテコさん  

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