中編3
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おばあちゃんのお迎え

私は小さい頃、

両親が共働きだったため

よく祖父母に面倒を見てもらっていた。

かなりじじばばっ子だったと思う。

40代の頃の孫なので

よく親子に間違えられて嬉しそうだった。

おばあちゃんはおじいちゃんにベタ惚れで

おじいちゃんは

当時のイケメンだったようで

更にお茶とお花のお免状もあり

結婚した後も

着流しで下駄をつっかけて

カラコロ言わせながら出掛ける姿が

かっこ良かったと

孫にのろけていた。

お見合い結婚だけど

結婚して恋をしたそうだ。

なんとなく羨ましく思った。

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そんな粋なおじいちゃんも

50代後半から体調が優れず

数度の入退院後、

眠ったまま起きてこなかった。

前日、普通に

お休み、と寝て

そのまま亡くなったようだ。

学校から慌てて帰った私が見たものは

小柄な体を更にきゅっと縮めて

茫然としていたおばあちゃんだった。

「麗ちゃん、おじいさん、逝ってまった…

おばあちゃん一人になってまったよぅ…

寂しいねぇ…どうしたらええかねぇ…

おばあちゃんを支えてなぁ…」

と泣きじゃくるおばあちゃんを

私も泣きながら抱き締めた。

その日はホワイトデーで、

落ち着いた時に冷蔵庫から

私達孫へのプレゼントを見つけたとき

泣きながら

キザだわ~

と笑った。

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十数年後

おばあちゃんにガンが見つかった。

数度目の入院の時

「覚悟しといてね」

と、親に言われた。

なるべくお見舞いに行ったが、

段々と会話がおかしくなり、

私はよく叔母と間違えられていた。

ある時、

寝ている事が多いおばあちゃんが、

珍しく起きててニコニコしている。

「ご機嫌だねぇ」

「ウフフ」

と、少女のように笑った。

「どうしたの?」

「あのね、おじいさんが来てくれるんだわ」

私はぎょっとした。

「や、やだな~!お迎えには早いよ~」

「つーちゃんとね、呼びに来てくれるんだわ」

おばあちゃんは嬉しそうに言った。

つーちゃんは、産まれずに亡くなったおばあちゃんの一番下の子だ。

「おばあちゃん…おじいちゃんが大好きだもんね」

「ふふふ」

「おじいちゃんが迎えに来てくれて…嬉しい?」

「そりゃぁ嬉しいわね。若い頃の格好いい姿できてくれとる」

「おじいちゃん、格好つけだねぇ」

「つーちゃんは、育っとるの。いい娘になっとる」

「え~?私より?」

「あんたより美人だわ」

「おばあちゃん一言余分だわ」

「あはは」

久しぶりの穏やかな会話だった。

「…おばあちゃん、おじいちゃんに伝えてよ。まだ連れていかないでって」

「…そりゃぁあかんわ。私がおじいさんといきたいもん」

「…そっか…ごめんね、わがまま言って…」

その数日後

おばあちゃんは旅立った。

きっとおじいちゃんとつーちゃんが

お迎えに来てくれてたんだと思う。

私もそう想える相手と出会えたらなぁ…

おばあちゃんが未だに羨ましく思う。

今頃おばあちゃんも若い頃の姿で

デートしているだろうか。

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バケモノガタリ様→家族としては長生きしてもらいたかったんですが…あんなにニコニコしてたのを見ると…我が祖母ながらキュンッとしてしまいます。コメントありがとうございます。

こういう話好きです(;v;)
おばあちゃんが幸せにあっちにいけて良かったですね。

薄紅様→本当に羨ましい限りです。
そんな相手と出逢いたいものです。

死ん様→闘病生活をしていたので、やはり苦しんではいたと思いますが、精神的には安心していたのかもしれません。

怖女様→ありがとうございます。
すぐそこに来てる、といわれても、全然恐くありませんでした。

そこまで惚れ込める人とあっちの世界でも一緒に居られるなんて素敵ですね

幸せそうに旅立ったんだなぁ

いいお話。
心がほっこりしました。