中編3
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ママンの話1

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幾つか母の事は話に出していますが、まだまだあります。母の話。

人間五十年、オカルトをこよなく愛し、毎月ホラー漫画雑誌を買ったり、ほん怖を買ったり、テレビの心霊特番は欠かさず見、廃墟探検とかスポット探索とかやるのは抵抗が無い。

出来る事なら、お化けが見える吸血鬼になってみたいと語るお茶目な乙女。

そんな母は、人生で一回しかお化けを見た事がないと悔やんでる。

今回はその母が見た、人生でたった一回の実体験。

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母が中学生の頃の話。

母の生家は今現在もある、とても古いお家です。

小さな山の中に、ポツポツと数件の家が集落の様に並び、夜は街灯も少なく薄暗い場所。

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その日の夕方、母は学校から帰ると居間にゴロンと横になりました。

とても眠かったのだそうです。

暫くすると、なんだか眠たいのに寝つきが悪いと言う状態に気が付いて、イライラし出したそうです。

「はぁ、もう、眠たいのに」

ゴロンと寝返りを打って縁側の窓を見ると、擦りガラスの方にモヤモヤとしたモノが見えたそうです。

(あれ、なんだろうなぁ……)

そう思ったのも束の間、そのモヤはクルンく丸まって黒い球体になったかと思うと、母へ目がけて猛スピードで向かってきます。

けれど、猛スピードでこっちに来ることは分かるんですが、なんでかスローモーションで見えたそうです。

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その球体は母の頭上にポンと跳ね上がると、今度は天井から母に向かって迫って来ました。

「うをっ!」と、母は思ったそうです。

その球体は、よく見れば『お姫様の生首』。

時代劇やバカ殿に出来るような立派な簪を髪に刺し、和髪を綺麗に結ったお姫様の首。

首はニタニタニタ~……ニタァ~……と不気味に笑い、母に迫りくる。

顔面蒼白で血の気がなく、歯が少し黄色く見えたそう。でも紅が真っ赤に引かれていた。

母は、悲鳴を上げて目を閉じた所、今度は笑い声が聞こえ、スゥッと生首は消えたそうです。

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「アレは怖かったなぁ。でも、あれ一回きりなのよねぇ。もっとこう、怖い話として面白くなるような経験がしたいわぁ。こう拝み屋さんとかが来て、ハァーッ!とかやるの、ハーッ!て」

映画「陰陽師」で野村萬斎さんがやっていたような仕草を真似て、母は笑っていた。

そんな怖い体験、命に関わりそうなので勘弁して下さい……。

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そんな母から、つい今しがた電話があった。

被災地である母の実家は今、怖い話の宝庫だったりする。

(震災で亡くなった方達を娯楽として語るつもりは無いが、彼らの無念を示す一つの話として、何れ書き起こしたいと思います)

先程、O町に祖母と二人で行って来たのだそうだ。

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母「宵、宵っ!」

私「何、ママン、どうしたの?」

母「今ね、お婆ちゃんとO町のトンネルを通って帰って来たの」

私(この下りは、怖い話だろうなぁ……)「うん、それで?」

母「お婆ちゃん、トンネルの中では黙っていたのにさ、出た瞬間こう言うのよ」

私「う、うん……」

母「『あんれぇ、今、子供の声が聞こえながったが? 二回』だってっ!怖い怖いっ」

私「震災の後だからねぇ……」(怖い言う割に興奮していませんか……ママン)

母「夏休みに来るんでしょ、宵が行ったら何かないかなぁ……楽しみだねぇ」

私「ハッ?(|| ゚Д゚)!!」

母「楽しみだねぇ~。夜は流石に怖いけれど、頑張ってみようかなぁ」

夏休み、私は無事に過ごせるんでしょうか、心配です……。

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猫丸三歩さん

読んで下さり有難うございました。
本当、お茶目なママンです。

確かに多いですよね。
震災後の被災地って。
でも、そう語り継ぐ事で、あの日の苦しさや無念を後世に残そうとしているのかな?と思います。

オカルト好きのお母様、なかなかお茶目ですね(笑)
けっこう、笑いながら読んでしまいました。
野村満斎の陰陽師が目に浮かんで来ました。
実は、こちらも東日本大震災の被災地なので、その後いろいろな目撃談は後を絶ちません。
夏休みのお話楽しみにしています。

怖女さん

読んで頂き有難うございました。

そうですねぇ、夏休みは色んな所に行くので、やっぱり何処かに『ママンの隠していた取って置きの怖いスポット』が紛れています。んで、通り過ぎた後に「何か視えた?」「聞こえた?」と聞いて来るんですよね。
「だから、占い師だっつの、拝み屋じゃないッてば」と言っても、ママンは『占い師』と『拝み屋』も同じ様な物で一括りなので、参ります…(^_^;)

まぁ、凄く怖い思いはまだしていないので、いいかなと。

夏休み、話しに書いた件のトンネルへ行ってきます。
元からそのトンネルは出ると有名なトンネルです。
やだなあ、怖いなぁ(^_^;)

ぴ~にゃさん

読んで頂き有難うございました。

おっ!誕生日が一日違いですか?!凄い!
では、私と同じお悩みをお持ちなのかしら(笑)
この日辺りに生まれると、学生時代って面と向かって「お誕生日おめでとう」って言われにくかったりしませんか?
プレゼントあげても夏休み中でお返し貰えなかったり。
大人になると私も家族も盆明けでぐったり、誕生日だった、そうだった!とか。
みんな田舎に帰っちゃって、誕生日に一緒に遊んでくれるお友達が居ない…とか(笑)
ちょっと損な日に生まれたなぁ~と思います。誕生日が結構忙しいので。

これからもママンシリーズはちょこちょこアップします。
たまには怖イイ話もあってもいいかな?(^^)

待ってました!ママンシリーズ( ^ω^ )
宵子さんの夏休みはママさんの為にあるんですね笑

おぉ〜私と一日違いの誕生日デスねぇ

だから?
なんですが…

ママンシリーズもっと読みたいですね♪
可愛らしいと言うか、お茶目と言うか(笑)

怖い話なのにナゼか顔がほころびます(笑)