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短編2
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深夜の乗客

10年前に札幌にいた時の話

夕方、急遽網走へ出張が決まった。しかも明日の午前中には網走にいないといけない。

もともと行く予定だった同僚が仕事中に事故に遭ったため、俺が代わりに行けということだ。

事情が事情なので、仕方ない。

早めに仕事を切り上げ、列車で行くことにしたが、網走へ行く特急の本数が少ないので夜行に乗るしかなかった。

札幌駅から列車に乗り込み座席に座った途端、どっと眠くなった。

急な出張でドタバタしたからだろう。

列車が札幌を出発したと同時に寝てしまった。

…どのくらい眠っていたのだろう。

起きた時は車内は消灯していて、どこかの駅に止まっていた。

窓越しにホームを見ると

「生田原」

と文字が見えた。

列車は1分くらいしてから動き出した。

眠気がなくなりしばらく起きていたら、誰かが奥から来るのが見えた。

車掌さんかなと思ったが、

違った。

薄汚れたシャツを着て、泥だらけで無精髭を生やした男だった。

その時は汚い格好しているなぁとしか思わなかった。

男は俺の反対側の窓際の座席に座った。

あまりジロジロ見ない方がいいと思い下を向いた。

しばらくすると列車はトンネルに入った。

轟音が鳴り響く中、ふとさっきの男が気になり男が座った座席の方を向いたら、

その男が俺の隣に座って俯いていた。

思わず、体がビクッとなった。

なんなんだこの男は?

そう思いながら、男を見ていると

何かを呟いている。

耳を澄ましてみると…。

「……めた」

とかすかに聞こえる。

「…ぜ…めた」

「…なぜ…しを…めた」

 

 

 

 

 

              

「…なぜ私を埋めた」

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