中編6
  • 表示切替
  • 使い方

呪いの小箱

少し長くなります。

これは私が高校生の時に体験した出来事です。

当時私は単位制の高校に通っており

授業のない時間はいつも図書館で過ごしていて

そこで仲良くなった友達がいました。

いつも携帯をいじっていて、私はあまり好きではなかったA子

姉御肌のS美

図書室だというのに大きな声で話して怒られるS君

そしてカップルで仲の良かったM子とN君。

それぞれ部活やクラスはバラバラでしたが

共通の趣味を持っていたりして、もうずっと以前からのように仲良くしていました。

ところがある日、M子とN君が別れてしまいました。

原因は性格の不一致だと聞きましたが

あんなに仲が良かったのに…?と、不審に思っていました。

それからM子は私たちのグループから外れ、居づらくなったのかN君も抜け

次第に皆バラバラになっていきました。

そんなある日、携帯に一通のメールが届きました

M子からでした。

しばらく学校も休んでいたようなので、「会いたい」というメールにすぐにOKの返信をして

次の日M子に会いました。

…が、驚いて言葉も出ませんでした

素朴な雰囲気で、目立たない可愛さが特徴のM子でしたが

見た目は派手になり、面影がないくらいになっていました。

M子は久しぶり!と私に抱き付いてきて、昨日まで気分転換に旅行に行っていたと言い

かわいらしい柄の小さな小箱をくれました

さっそく開けようとした私を制止し、M子はこう言いました

「これね、幸福の小箱って言うやつで、この紐で結んでから1週間開けないで持ってると幸せになれるんだって!」

渡された紐は、白くて細い糸を編み込んだような紐で、私は何の疑いもなく言われるがままに

紐で小箱をくくり、一週間開けないと約束し、M子が帰ると言うのでそのまま別れました。

その日の夜

いつも通り眠りについた私は、おかしな夢を見ました。

黒くて大きな木の下に女の人が立っていて、ずっと何かを呟いている

しかしなんと言っているのかはわからず、目が覚めると朝…

そんな日が数日続き、私は少し参っていました。

気味の悪い夢を数時間見続ける苦痛

寝た気がしない体のだるさと、背中にずっと何かが乗っているような重み

空腹感はあるのに、食欲の沸かない辛さ

たった5日で、私は体重が激減し

病院で看てもらっても異常はなし、学校に行くこともできずに部屋で寝込んでいました。

そんな私を心配して、A子とS美がお見舞いに来てくれました。

二人と話すことで少し落ち着いた私は、M子に会ったこと、M子からお土産を貰ったことを話しました。

すると二人は不思議そうな顔をして

「M子なら学校辞めたし、私達M子と全然連絡とれないんだけど…」

と言いました。

M子とS美は幼馴染で、A子はM子の親友です

二人に連絡無しで、なんで私にだけ…?

そう思って、なんだか不安になり、M子から貰った小箱を開けてみました。

中身を見て思わず放り投げてしまいました。

中身を見たA子とS美も悲鳴を上げました

中身は、干からびた何かの皮

大量の爪のようなもの

蜂、蜘蛛、百足の死骸

そして、書道の崩し文字のような文字の書かれた、折りたたまれた紙

私はS美に連れられ、次の日の朝出発し、どこかの山奥へ連れていかれました。(S美のお母さんが運転してくれました)

長い石段を上った先には立派なお寺があり

S美のお母さんに連れられてお寺の中の、神様の彫刻の前に座らされました。

お坊さんが驚いた顔で私の肩や背中に触れ、「これは酷い」とつぶやきました。

まだ若いお坊さんでしたが、すぐにその奥に通され

お経のようなものを聞き、背中を何かの道具で何度も叩かれました。

そうしているうちに次第に気持ちが楽になっていき

S美に肩を叩かれてハッと我に帰ると

来た時はお昼頃だったのに、もう夕方でした。

背中の重みは、すっかり無くなっていました

お坊さんから聞かされた事実は、私に大きな衝撃を与えました

以下、お坊さんのお話です。

「あの箱自体は、どこにでも売っているような普通の物です。

しかし中身が問題です。

まずこれですが…これは人の爪です。

私自身は詳しくはないのですが、どこかの国では入れ物に爪を入れて呪いをかける方法があると聞いたことがございます。

そしてこの紙…これは梵字と申しまして、これは〇〇〇 〇(私の名前です。)と書いてあります。

しかしこれは正しい文字ではありません

正しく書かれていたら厄介でしたね」

何もかも正確に話されると恐怖心がすごくて、途中で少し休憩をいただきました

こんなに直球に言うものなのかと尋ねると、真実を隠されるよりは良いでしょう?と

呆れたようにため息をつかれました。

正直腹が立ちましたが、助けてもらったのは事実なので

何も言わずに話を続けていただきました

「この皮のようなもの

これはおそらく人の皮膚です

相当強い恨みを持っているようですね。

そして、この…虫ですが

これはおそらく…蠱毒ではないかと」

「蠱毒…!?」

S美のお母さんが身を乗り出して怒鳴りました。

私もS美も何が何だかわからず、今まで話をしてくれていたお坊さんではない、大分のお歳であろうお坊さんが話の続きをしてくれました。

「蠱毒というのは呪いの一種です。

壺や箱等の中に蛇や蛙、蜘蛛や百足など、色々な種類の爬虫類や虫を入れて

互いを喰らわす…つまり共食いをさせ、最後に残った1匹が強い力を秘める…と言われるものです

その虫を使えば人を呪い殺せると信じる方も多くいらっしゃいます

実際に、不幸が続いた例も見ています」

「なんで…そんなの、私に…」

「人が人を恨んだり憎んだりする理由は、本人にしかわからないこともあります。

あなたが知らず知らずのうちに恨みを買っていた…という可能性も、ありますからね

…しかし、この虫ですが

知恵の浅い素人の行ったことだったことが救いです。

力はかなり弱いです。

ですが無力というわけでもございません。

この箱自体…禍々しい物であることに変わりはありません。

これがもっと巧妙に作られていたら危なかったです。」

その時すぐにM子に電話したのですが

機械的な声で、「現在使われておりません」と。

その後箱を預け、最後にもう一度お祓いのようなことをし、私たちはお寺を後にしました。

車の中で、あのお寺は何なのか、と聞くと

S美の親戚のお寺なんだそうです。

そこまで有名ではないものの、きちんと歴史のあるお寺なのだと教えてくれました。

帰宅し、M子の家に電話をかけてみると、M子の親戚だという男性が出て

M子が今日の夕方、自宅マンションのベランダから飛び降り、死亡したことを告げられました。

M子のお葬式には行ったのですが、M子のお母さんに追い返されました。

後に判明したことは、M子が私のことを憎い、憎いとお母さんに話していたらしいということ

遺書に、〇〇(私の名前)が憎い憎い憎い憎い憎い憎い…と、無数に書いてあったらしいということ

M子とN君が別れた理由は、N君に好きな人ができたから

そしてN君の好きな相手が、私だったそうです

M子が本気で私を殺そうとしていたのか、それは今となってはわかりません。

しかし、飛び降りた時間は、私が背中の重みを感じなくなった時間帯とほぼ同時

もしかしたら、私の所に居た悪いものが、M子のところへ行ってしまったのではないか

そう思うと、複雑な気持ちがこみあげてきました。

その後私は高校を辞め、仕事をするようになりました。

しばらくして、N君から告白されましたが丁寧に断り、その後連絡をとることはありません。

A子とも自然と疎遠となり、S美とS君以外は完全に離れてしまいました。

S美とS君は高校卒業後2年交際し、S美が新たな命を宿し、今年ゴールインしました。

私はお祝いの花束と、安産祈願のお守りを持って、S美の所へ行くつもりです。

Concrete 59189e6fb4d79119a63e92183ffb92aeb8f46031afd97d5db060811ce15c35e6
閲覧数コメント怖い
5,37811
32
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ

高校生で携帯持ってると言う事は
結構、最近の話ですよね?

中国4千年の秘術を使ってくるとは
相当マニアック。

どこで、どう転んだのでしょうか。

アクセス解析を見ていて知ったのですが、台湾の掲示板(2chみたいなもの?)で
この話が台湾語に翻訳されていました。

http://bbnews.cc/XDSelect/viewpost/j3U1pp81-pZZ-1bUFmxt

台湾語の分かる人によると、コメント欄は結構賑わっているみたいですw

一度でも人に呪いをかけた人は、
今後酷い事になりますし、呪い返しでは無く、
自分の意思で死を選んだのならならM子は正常だったと思います

最後のお守りが気になった(笑)

蠱毒とは、ずいぶんと懐かしいものをかけられましたね

文にも出ているように素人ではなく

しっかりした手順でされていたとしたら
今、ここには居ませんでしたね

呪いを解いたことによって
呪い返しが起きたのでしょうね
人を呪わば穴二つと言ったものですね
これからもおきをつけて

こんにちは。
友達から呪いをかけられるって
かなりショックですね…
話もできないまま亡くなってしまって
モヤモヤモヤモヤ~!!!!!

直接話せよ!!!!!と。

気持ちをぶつけるのは
なかなか勇気がいりますがね。

助けてくれる友達がいて
よかったです!

母子ともに元気に出産できますように♪
楽しみですね、赤ちゃん♪♪

人間が一番怖いという典型的なお話ですね(^_^;)
呪いって誰もが簡単にかけられる反面、返されると倍返しを喰らうという恐ろしさがありますね。

小箱に入れられた爪とか皮で呪うというのは解りませんが、蠱毒は確か韓国発祥の呪いだという話は聞いた事があります。

憎さ余って色々ごちゃまぜで呪ったものの、詰めの甘さも相まって倍返し喰らった挙句に地獄落ち(笑)
たいへん面白かったです!

とても悲しいお話でした。人はどこでどんな念を飛ばされているか解らない、自分もまたしらずしらずのうちに、誰かに影響をあたえてしまっているのかもしれません…(*´Д`*)

友達に呪いかけられるとか怖すぎ!!(。>д<)

人を呪わば穴2つ・・・
成就してもしなくても自分のとこに帰ってくるのにね。

漫画にしたらすごく怖そう。