短編2
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ちょっとした話

これは僕が体験した実話。

だけどちょっとしたフェイクが入ってる。

僕は誕生日の前日に友達から誘われて山に登ったんだ。

山の名前は市部の人間なら確実に知ってると思う。

H市にあるT山っていうところ。

小さい頃幼稚園の遠足で散々行ったところだったから

行楽気分で向かったところ、見事にガチ登山で驚いたよ。

こっちは登山とかには慣れていないもやしっこなもんで、

むこうさんのパワフルさにはただただ感心するばかりだった。

さて、途中でへばったものの何とか尾根伝いに十何キロか歩いてJ山の山頂についたんだ。

その頃には段々冬の短い日も暮れてきて、とにかく僕は焦った。

なんでかって、それは登山に慣れていない素人だから、

帰り道が見えなくなるなんて不安でしょうがなかったんだよ。

で、まあ気ばかり急きつつ帰り道を下っていったわけだ。

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それでここからは不思議な話。

前置きが長いって言う苦情は勘弁してよ。

一応前置きがなきゃ何がなんだかわからない、

と思うんだ。

一つは木が疎らになって植生が杉とかばっかりになってきた辺りで、

下から上がってきた老夫婦。

彼らが目指していたJ山の山頂には泊まるようなところもないし、

僕らが辿ってきた一本道の尾根道には小屋すらなかったはずなんだ。

さて、彼らは一体どこに向かってたんだろう。

僕は未だに彼らがどこへ向かっていたのかを考えてしまう。

もう一つは老夫婦とすれ違って10分位過ぎてから

唐突に僕のリュックサックが引っ張られたこと。

shake

しかもバランスを崩すぐらい強く。

最初は木にでも引っ掛けたかな

って思ったんだけど僕らは木からそこそこ離れた所にいたからそれはあり得ない。

それですぐ後ろにいた友達がやったんだと思って文句を言ったんだが、

あとから聞くとそれをやったのは彼ではなかったらしい。

というより僕の後をついてきていた彼は、

誰も僕のリュックサックを引っ張ってなどいないと言う。

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ならば問題は。

誰が僕のリュックサックを引っ張ったのか。

霊能力者とかそういうものではない僕には分からない。

結局あれからしばらく山自体に行っていない。山って黄泉の元義らしいし

やっぱり異世界なんだろうか。

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山って色んな者が居る気がします。異世界と現実世界が混じった場所...そんな気がします。

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