電車での話でございます。
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仕事を終え 深夜一人で電車に乗った
この時刻は人が殆どおらず車内はガラガラだった
周りに人が居ないのを確認し僕は瞼を閉じる
人に寝顔を観られたくない僕にとってこの車内の環境は良好だった
うるさくなく ただ電車が走る音だけ
一番隅の席で一人うつらうつらとしていた
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電車の揺れは赤ちゃんが揺りかごに揺られる感覚と同じだと誰かが言っていたのを思い出した
今の自分を赤ちゃんに置き換えて想像したら笑えた
このまま静かな状態が続くと思っていたが、次止まった駅から数名客が乗り込んできた
途端に静けさが無くなる
残念だなと思いながら再びうつらうつら
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あと少しで完全な眠りにつくという時に隣でぶつぶつ言う声で起きた
うるさいな...
内心悪態をつきながらぶつぶつ言う声に意識が向く
「ふふふふ...そう..そうなのぉ.,ふふふ...貴方は素敵ね」
おばさんの声がした ヒソヒソと話ているが声が丸聞こえである
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「貴方はもう本当イケメンなんだからぁ〜ふふふふ...もぉ...」
誰かと話ているのか、そのおばさんの声しか聞こえないが誰かと話しているようだ
何回かおばさんの肘が僕の右腕に当たる
痛...なんだよおばさん..
僕は腕を組んで目を閉じていた
おばさんのヒソヒソ声と肘アタックに耐えきれず目を開けて隣をみた
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中年の小太りのおばさんが何かを抱え、それに向かって話かけていた
気持ち悪...なんだよこれ...
まじまじと確認することができないので向かいの席の窓をみた
僕の前に人は居ないので隣がよく見えた
おばさんは何故か僕に肘を当てながら話しかけている
何に話しかけてるんだ...?
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おばさんに見つからないように窓ごしにソレを確認した....
おばさんは抱きしめたマネキンの片腕に向かって話しかけていた
肘を僕に当てながらだんだん体を押し付けてくる
壁に潰す気かと思う位ぎゅーっと押される
このままだと危ないと感じ立ち上がった
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すると、おばさんは僕が座ってたシートにゴロンと横になって真顔で僕の顔を凝視した
怖かったがそれを顔に出さないよう真顔を作って車両を変えた
すぐにでもこの電車から降りたくて 次の駅で降りた
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次の電車がくるまでベンチに座ろうと思いホーム内を見回すと、先程のマネキンおばさんが数メートル離れた所に立っていた
まじか....
冷や汗が出た
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おばさんの方をみないようにして改札口方向の階段を降り、走って改札を出てすぐにタクシーを見つけて乗り込んだ
駅の方をみるとマネキンおばさんがマネキンの片腕を抱いて立っていた...
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おしまい
作者群青
深夜の電車って変な人多いですよね。
皆さんも変な人に遭遇した事ありますか?