15年09月怖話アワード受賞作品
長編15
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落札者

知人から聞いた話です。

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「ほんとに、こんなんで稼げるの?」

家電に家具、衣類、様々な商品がひしめき合うリサイクルショップの店内。

三人組の女の子が携帯電話を片手に小声でひそひそと話していた。

「この店はほんとに狙い目だから」

そう言いながらA子が携帯電話の画面を二人に見せた。

「何これ?!」

「嘘でしょ?!すごすぎ!」

携帯の画面にはフリーマーケットアプリの売買履歴が表示されていた。

「わたしの先月のバイト代より多いんですけど…」

「A子、バイトする必要無いじゃん!」

驚く二人の反応にA子は笑みを浮かべならが自慢げに話を続ける。

「リサイクルショップは客から捨て値で買い取って、世間の相場より少し下げた値段で売りつけるから成り立ってるんだけど、この店は世間の相場を無視して店長の価値観で値段をつけてるんだよ。だからほら…」

A子が衣類コーナーから持ってきていた花柄のワンピースを二人に渡した。

「例えばこれ、値札は300円だけど…」

「…」

数分、無言で携帯電話を操作していたA子が携帯の画面を二人に見せた。

「え?!」

「ね?この花柄ワンピ、中古の売買相場は3000~4000円。○○ってブランド聞いた事あるでしょ?そこのだよ?それを300円で売るなんて相場を知らない証拠でしょ!」

「確かに!でも、なんでそんなんでこの店は成り立ってるの?」

「それはね…」

A子はニヤニヤと笑みを浮かべながら話を続けた。

「この店、家具とか家電も取り扱ってるけど、それは相場に近い金額で売ってるんだよね。衣類も男物は相場通り。何故か女物だけ相場無視なんだよ。そこに偶然気が付いてからは稼ぎ放題って感じ」

「なるほど~!でもさ、そんな美味い話をあたし達に教えちゃってもいいの?」

「いいのいいの!わたし達、親友でしょ!でも、その代わりにさぁ…sくんの…」

「そういう事かぁ!おっけー!今度聞いとくよ!」

「ありがとう!!」

A子は無邪気に悪戯をする小さな子供のように微笑むと、花柄のワンピ片手にレジへと向かった。

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「そこの服、見せてもらえますか?」

レジの奥に乱雑に置かれた商品の山を指差しながら、A子が店員に声をかけた。

「あ…。これ、ですか?」

「違います。その隣の白の」

「あ、これですね」

店員はA子に真っ白なブラウスを手渡した。

「A子?何してるの?」

背後から二人が不思議そうな顔でのぞき込む。

「あ、これね。お店が客から買い取ったばかりで、まだ店頭に並ぶ前の商品。だから競争相手もいないし、意外な掘り出し物があったりするんだよね~」

「なるほど!」

A子は店員から受け取ったブラウスを慣れた手つきで確認する。

「あの~、これ値札まだ付いてませんけど、いくらですか?」

「えっと…少々お待ち下さい」

店員は真っ白なブラウスを手に【staff only】と書かれたドアの奥へと消えていった。

A子はすかさず携帯電話を取り出すと、真っ白なブラウスの売買相場を調べ始めた。

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「お待たせして申し訳ありません」

そう言ってドアの奥から現れたのは先程の店員では無かった。

首から下げたネームホルダーには【店長:○○】と書かれている。

「こちら、300円になります」

「買います!これと一緒にお会計お願いします」

A子から花柄のワンピースを手渡された店長の顔色がみるみるうちに険しくなった。

「お客様。申し訳ありませんが…」

「えっ?」

リサイクルショップには【転売目的での購入お断り】の貼り紙が貼られているお店もある。

A子は店員に会話を聞かれ、転売目的であると気が付かれてしまったのかも知れないと思ったが、気にし過ぎだった。

「申し訳ありません。こちらに染みがありますので、お値引きして100円になります」

店長に言われて初めて気が付いたが、確かに花柄ワンピースの裾のあたりに染みがあった。

ただ、よく見ないと気が付かないくらいの薄い染みだった為、A子は気にせず購入した。

「ありがとうございました。またのお越しを」

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帰宅したA子は自室のベッドの上に買ったばかりの花柄のワンピースを置き、携帯電話で写真撮影を始めた。

何枚か撮影した後、今度は花柄のワンピースを着用し、部屋に置かれた木製フレームの姿見鏡の前に立つ。

ポーズを決めると鏡越しに着用イメージ用の写真を携帯電話で撮影した。

フリーマーケットアプリを立ち上げ、保存してある出品テンプレートを立ち上げると、商品名、金額、写真を指定し、あっと言う間に出品が完了した。

充電が切れそうな携帯電話を充電器に繋げ、ベッドの上に放り投げると、A子は部屋を出た。

廊下に出ると香ばしい匂い。

リビングには笑顔で夕飯を盛り付けている母親の姿があった。

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就寝前。

Aさんは自分の部屋のドアを開けると、真っ暗闇の中、ベッドの上に置かれた携帯電話が点滅を繰り返していた。

携帯電話を確認すると、フリーマーケットアプリに出品している商品に対して、購入希望者からの連絡がある旨、自動送信メールが届いていた。

Aさんはフリーマーケットアプリを立ち上げ、購入希望者からの連絡を確認した。

『出品されているワンピース。購入希望です』

購入希望者のプロフィールを確認すると、Dさんという女性でこれまでにもたくさんの女性物の衣類を落札しているようだ。

今日買ったばかりのワンピースが相場よりも少し高い金額で売れ、Aさんは笑みをこぼした。

『ご連絡ありがとうございます。ご住所をご連絡いただき次第、口座番号と併せて、送料を含めたお支払額を連絡します』

そう返信し、Aさんが眠ろうとした時、再び携帯電話が鳴った。

また、フリーマーケットアプリの自動送信メールだった。

『夜遅くに申し訳ありません。こちらの住所等は以下の通りです。また、他にもAさんが出品されている商品を購入希望です。お手数ですが同梱しておまとめいただけますでしょうか』

「え?まじで?!」

携帯電話の画面を見ながらAさんはつい声を出してしまった。

Aさんが出品していた衣類が全て即決価格にてDさんが購入希望の状態になっていた。

売れないだろうと思っていた衣類までまとめて売れたことにAさんは喜びのあまり、興奮状態になった。

『ご連絡ありがとうございます。同梱可能です!送料はサービスさせていただきますので、商品代金の○○万円を以下の口座までお支払い下さい。入金の確認が取れ次第、発送の手続きをさせていただきますが、当方、学生の為、発送は土日となる見込みです。ご了承下さい』

そう返信し、Aさんはダンボールに衣類を詰め込んだ。

衣類の量が多い為、ダンボール一箱に収まりきらず、二箱でちょうど収まった。

一仕事やり終えたAさんはダンボール箱をクローゼットにしまうと今度こそ眠りについた。

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翌朝。

携帯電話を確認すると、フリーマーケットアプリにDさんからの連絡が来ていた。

『同梱の件、ありがとうございます。送料もサービスしていただき、本当にありがとうございます。先程、ご指定の口座への送金手続き完了しましたのでご確認下さい』

早速、Aさんは指定していた口座の入出金明細をインターネットで確認すると、Dさんから○○万円が確かに送金されていた。

「よっしゃ!」

アルバイト数か月分の臨時ボーナスを得たAさんは鼻歌混じりにリビングへと向かった。

「どうしたのA?随分嬉しそうだけど?」

「…」

「いいなぁ。毎日楽しそうで…」

「…」

母親の問いかけにAさんは一切返事をしなかった。

以前は母親とも普通に接していたが、父親が他界してからは全く話さなくなった。

母親の起こした事故が原因で幸せだった家庭は一瞬で壊れてしまったからだ。

Aさんはそんな母親への当てつけのように笑顔で朝食を食べ続けた。

頭の中では欲しいものが駆けめぐり、何を買うかでいっぱいだった。

『Dさん。入金確認出来ました!発送する商品が多いため、ダンボールを二箱に分けて土曜日に発送予定となります』

そう返信し、Aさんは学校へと向かった。

学校では昨日の出来事を自慢したかったが、逆の立場で考えるとそれはあまり良くないと考え、Aさんはフリーマーケットアプリの話題には一切触れなかった。

帰宅してしばらくすると、フリーマーケットアプリにDさんからの連絡が来ていた。

『入金のご確認ありがとうございました。商品楽しみにしています』

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翌々日。

帰宅途中にフリーマーケットアプリにDさんからの連絡が来ていた。

『商品大変満足しております。お取引ありがとうございました。またご縁がありましたらその際はよろしくお願い致します』

「え?」

内容を確認したAさんは驚いた。

今日は火曜日で商品はまだ発送しておらず、クローゼットに入れてあるからだ。

もしかしたらAさんではない他の人から購入した商品と勘違いして連絡してきたのかも知れないと思った。

『Dさん。私の商品は土曜日に発送予定となりますので、まだ発送しておりません。届いたのは他の方の商品ではないでしょうか?発送完了次第、改めてご連絡いたします』

Aさんがそうこう返信しているうちに、自宅に到着した。

帰宅するなり一直線に自分の部屋に向かったAさんは、ダンボール箱をしまっておいたクローゼットを勢いよく開けた。

「あれ…」

そこにあるはずのダンボール箱は二箱とも無かった。

その時、ちょうど携帯電話が鳴った。

『商品大変満足しております。お取引ありがとうございました。またご縁がありましたらその際はよろしくお願い致します』

先程と全く同じ内容でDさんから連絡が来ていた。

それに今度は写真が添付されていた。

「あ…」

それは、花柄のワンピースを着た女性がベッドの上に横たわっている写真だった。

顔から下の写真であったが、色白で細長い手足、モデル体系でとても似合っていた。

間違いなくAさんが出品したワンピースであった。

Aさんが商品を発送していないのは明らかだったが、もしかしたら母親が勝手に送ったのかも知れないと思った。

母親はAさんがフリーマーケットアプリを使用してお小遣い稼ぎをしているのも知っているし、クローゼットにしまっておいたダンボール箱にはDさんの住所を記入した発送伝票も貼り付けてあったからだ。

『Dさん。商品到着のご連絡ありがとうございます。また、発送完了のご連絡が漏れてしまい申し訳ありませんでした。とても似合ってますね!商品、気に入っていただけて幸いです。またご縁がありましたらよろしくお願いします』

そう返信して、Dさんとのやりとりは完了した。

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その晩。

「あのさ」

帰宅した母親にAさんは話しかけた。

「え?」

娘から話しかけられるのはいつぶりか分からない母親は驚いた表情でAさんを見つめた。

「私の部屋、勝手に入ったでしょ?クローゼット…」

「あ、ごめんごめん。つい…」

「まぁ、別にいいけど。ありがと」

「あ、うん…」

Aさんから感謝されるとは思ってもみなかった母親は嬉しそうな顔をした。

「ご飯、作るね」

「うん」

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数か月後。

久しぶりにAさんはリサイクルショップに向かい、転売用の衣類探しをしていた。

浪費が重なり、Dさんとのやりとりで得た臨時収入も底が見え始めていたからだ。

相変わらず相場以下の値段で女物の衣類が売られているのを確認すると、Aさんは小悪魔のような表情を浮かべた。

売れそうな衣類数十点をまとめ買いし、帰宅するなりフリーマーケットアプリを立ち上げ、数時間で全ての出品を終えた。

また、Dさんみたいな人に買ってもらえないかと淡い期待を抱きつつ、その日は眠りについた。

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『出品されている商品。全て購入希望です。住所の変更はありません。入金額のご連絡お待ちしております』

朝起きると、Dさんからの連絡が来ていた。

気が付くとAさんは無言でガッツポーズをとっていた。

またしても全ての商品を即決価格で購入希望であった為、前回と変わらないくらいの利益になった。

『Dさん。お久しぶりです。購入希望のご連絡ありがとうございます。前回同様、送料はサービスさせていただきますので、商品代金の○○万円を以下の口座にご入金お願いいたします』

返信した数分後、すぐにDさんから連絡が来た。

『同梱の件、ありがとうございます。送料もサービスしていただき、本当にありがとうございます。先程、ご指定の口座への送金手続き完了しましたのでご確認下さい』

インターネットの入出金明細を確認すると、Dさんからの送金が完了していた。

『Dさん。迅速なご対応ありがとうございます。入金確認しましたので、商品発送までもうしばらくお待ち下さい』

その晩、ダンボール詰めを終えたAさんは前回同様にクローゼットにダンボールをしまい、眠りについた。

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翌日。

体調が優れないAさんは学校を休んだ。

喉の痛みと発熱で典型的な風邪の症状だった。

「それじゃ、行ってくるね。ちゃんと寝てるんだよ」

母親はリビングに朝食と昼食を用意してある旨、Aさんに伝えると会社へと向かった。

Aさんは朝食のおかゆを食べ終わると、リビングのソファに寝転がりながらニュース番組を見ていたが、しばらくすると風邪薬が効いてきたのか眠ってしまった。

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【バタンッ】

玄関ドアの閉まる音でAさんは目を覚ました。

付けっぱなしになっていたテレビ画面の左上に表示された時刻を見ると、もうお昼を過ぎていた。

どうやら母親が帰って来たようだが、リビングには入らずにそのまま二階への階段を駆け上がる足音が聞こえた。

丁度、お昼時なので、わざわざ帰ってきてくれたのかとAさんは思った。

それから何分経っただろうか。

母親は一向に下りてくる気配が無い。

それどころか、どうやら二階を走り回っているようで、バタバタと足音がうるさくなってきた。

「何か、探し物でもしてるのかな?」

気になったAさんはリビングから出ると、二階へと向かった。

階段の途中に差し掛かったあたりから、先程までの足音がピタリと止み、Aさんが階段を昇る足音しか聞こえなくなった。

「お母さん?何してるの?」

「…」

呼びかけてみるも返事は無い。

「ねぇ?お母さん?」

「…」

怖くなったAさんは、二階へ上がるのをやめて、玄関に向かった。

玄関に置かれた靴を見れば母親が帰って来たかわかると思ったからだ。

「え?なにこれ…」

玄関に母親の靴は無かった。

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玄関には見覚えのない靴が二足置かれていた。

一足は男性物の黒いスニーカー。

既に他界している父親の靴は一足も残っていない為、父親のではない事は確かだ。

もう一足は真っ赤なハイヒール。

お邪魔しますとばかりに丁寧に揃えて置かれた二足の靴。

Aさんは二階に誰がいるのか気になったが、好奇心よりも恐怖心の方が勝り、二階へ行く気にはなれなかった。

とにかくリビングに戻って母親、あるいは警察に連絡しようと玄関に背を向けた時だった。

【ギィ、ギィ、ギィ…】

二階からゆっくりと誰かが下りてくる足音、階段が軋む音が聞こえた。

早くリビングに行かなければと頭では思っているのだが、身体が動かせず、声も出ない。

【ギィ、ギィ、ギィ…】

Aさんの視界、左側ぎりぎりの位置に階段が見えている。

【ギィ、ギィ…】

顔を動かすことが出来ず、顔は見ることができないが、両手にダンボールを抱えた男性が下りてきた。

男性はまるでAさんのことは見えていないかのように、そのまま玄関から出て行った。

【ペ、チャ、ペ、チャ、ペ、チャ…】

また二階から何かが下りてくる音がした。

先程のダンボールを抱えた男性とは違い、階段が軋む音は聞こえない。

水たまりを裸足で歩いているような音だった。

【ペ、チャ、ペ、チャ、ペ、チャ…】

真っ白でまるで棒のような二本の足と花柄のワンピースの裾部分が見えた。

Aさんはすぐに、Dさんから送られてきた一枚の写真を思い出した。

【ペ、チャ、ペ、チャ、ペ、チャ…】

花柄のワンピースを着た女性は階段を下り終えると、その場で立ち止まった。

【ペ、チャ、ペ、チャ、ペ、チャ…】

女性は立ち止まっているはずなのに、先ほどから聞こえてくる音が止まない。

【ペ、チャ、ペ、チャ、ペ、チャ…】

階段からAさんがいる玄関前までの一直線上。

天井から何かが零れ落ちている。

音の正体はどす黒い得体のしれない液体だった。

天井から零れ落ちる液体は徐々にAさんに近づいてくる。

【ペ、チャ、ペ、チャ、ペ…】

音が止んだ。

黒い液体はAさんの後頭部を伝わり、顔を汚し、服も徐々に黒くなり始めた。

黒い液体が目に入り、痛みとともに目を閉じた瞬間、身体が動くようになった。

Aさんはその場に座り込む。

「…」

何も音が聞こえなくなった。

再び目を開け、顔の汚れを両手でふき取る。

花柄のワンピースを着た女性はいなくなっていたが、玄関には真っ赤なハイヒールが残されていた。

Aさんがしゃがみ込んで真っ赤なハイヒールに手を伸ばした時だった。

手の甲にどす黒い液体が零れ落ちた。

「えっ?」

咄嗟に天井を見上げたAさんは凍り付き、声にならない叫び声を上げた。

花柄のワンピースを着た女性が、まるで蜘蛛のように天井にはり付いていた。

ミイラのように痩せこけ、白目をむき、口元からどす黒い液体を垂れ流し続けている。

「たすけて…」

天井の女性がそう言った瞬間。

【グシャリ…】

嫌な音と共に全身の関節があらぬ方向に曲がった花柄のワンピースを着た女性がAさんの目の前に落ちてきた。

そこでAさんの意識は途切れた。

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Aさんが目を覚ますと、フリーマーケットアプリにDさんからの連絡が来ていた。

『商品大変満足しております。お取引ありがとうございました。またご縁がありましたらその際はよろしくお願い致します』

もちろん、商品はまだ発送していない。

Aさんがクローゼットを確認すると、ダンボール箱は消えていた。

母親にも確認したが、ダンボール箱なんて知らないとの事だった。

Dさんとの最初の取引の際も母親が発送手続きをしたと思い込んでいたが、母親はAさんの部屋を片付けていただけで、クローゼットの中にダンボール箱は無かったそうだ。

Aさんからダンボール箱を持っていった男性の話を聞いた母親はすぐに警察を呼んだ。

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「それで?オチは?」

「Dさんの住むマンションでDさんと思われる全裸の遺体が発見されたんだってさ。臓物全部引き抜かれてて、剥製のミイラ状態だったらしいよ」

「うわっ…」

「Dさん背負ってマンション出入りしてる男が何度も監視カメラに映ってたみたいで、今も捜査中らしいよ。あと…」

「ん?」

「Dさん、死後一年近く経ってたみたいで、フリーマーケットアプリでのやり取りはDさんに成りすました犯人の仕業だろうって。結局、Dさんの携帯も見つかってないってさ」

「最後にDさんが言ってた、たすけてってのは、遺体を見つけてくれって事だったのかな?」

「そうなんじゃない?まぁ、全部聞いた話だから、わからんけど」

「あ、ちょっとレジ行ってくる」

「おっけー」

レジには売却希望のお客様が待っていた。

「これ、売りたいんですけど」

紙袋から出てきたのは花柄の綺麗なワンピース。

「少々お待ちください」

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発想が凄いです。
日常の怖さ、官能しました。

久しぶりの投稿!さとるさんの名前を見て心躍りました****
リサイクルショップ…悪気はないのですが、お店、商品を取り巻く空気感、雰囲気がなぜか異様に怖く感じるときがあります。どんな想いを経て店にたどり着いたのかは誰にも分からないですもんね、、
流石の着目点、今回もびびりまくりました。゚(゚´ω`゚)゚。

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