中編4
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駄目

僕の兄はちょっと変な仕事をしている。

其れは、一言で説明するならば《なんか幽霊とかをどうにかする仕事》らしい。アバウトにも程がある。というか、説明になっていない。

兄曰く、

「まぁまぁまぁまぁ、組合っていうか会社の社員だからね。サラリーマンみたいなものだよ。」

なのだそうだが、其れすら胡散臭い。何故かというと、もし、兄の言うことが正しいならば、今現在この日本に《なんか幽霊をどうにかする会社》なんて現実味の無いこと甚だしい会社が存在することになってしまうからだ。

然しながら、兄は何処からかキチンと給料を貰い、酒を飲み、アニメグッズを購入し、ペットに兎まで飼っている。全く、謎が謎を呼ぶ兄である。

そして、此れから僕が話すのは、そんな兄の体験談・・・らしい。

追記:兄の口調がなんだか変なことについてはどうぞお気になさらず。そういう人なのだ。

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~~~

この間の仕事は久々にヒヤッとしたよ。なに、大した話ではないんだけどね。

単独の仕事でね、依頼人は若い男性だった。

初めて会った時から何だか妙な感じはしていたんだよ。こう、顔が青白くって、無闇矢鱈と辺りをキョロキョロ見回してさ。なんだったら、彼自身が幽霊みたいに見えたと言っても過言じゃなかった。

取り憑かれてるとかそんな感じもしないのに、妙だなと思った。

・・・まぁ、私もまだ新米のぺーぺーだからね。其の時は自分の実力不足なんだろうと思って、何も気付かなかったのさ。

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依頼人が言うには、毎晩布団の下から虫が沢山涌いて来て身体中を這い回り、部屋の収納の隙間から痩せこけた女がニタニタ笑いながら覗いて来るとのことだった。

部屋はワンルームの新築。怪しい事故とかは無かった筈だそうだ。連れて行かれて私も実際に見たけど、別に可笑しな点は見付けられなかった。

土地自体が曰く付きなのかも知れないと思い調べてみたが、そういう訳でもなかった。ならば本人の行動や人間関係かと思うと、此れも心当たりが無い、と。

其れなら、道端とかで面倒なものでも連れて来ちゃったのかとも考えたんだけどさ。其れにしちゃあんまりにも気配っていうかなんていうか・・・何かに何かされてる感が無いんだよね。

ほら、何の関係も無いやつに直接干渉出来るくらいなら、本体にそこそこパワーがなきゃ駄目だから。

正に八方塞がりどん詰まり。

厄介な仕事請けちゃったなあって。

こういう仕事柄、狂言とかもよくされるし、日常の自業自得な失敗を霊にこじつけてたりするケースとかも有るんだけどさ。何かに怯えてるのは本当らしかったから、何もしない訳にもいかないだろう?

精神病ならちゃんと納得させるなり宥めすかすなりして、病院行くようにさせなきゃならないし。

もうどうにも困ってしまってね。

すると、依頼人が、誰かの視線を感じて家に居たくないと言うんだ。私は何も感じなかったけど。

まあでも少し落ち着いて貰いたかったし、適当に喫茶店に入ったんだ。

甘いものや茶を頼んでさ。

熱い珈琲を飲んだら、彼も少し落ち着いたようだったよ。けど、其の内、依頼人がガタガタ震えだしたんだ。

どうしたんですか、と尋ねても一向に要領を得ない。何かうわ言のようなことをブツブツと言うと、急に目の前の物をひっくり返し始めたんだ。

えーと、確か、あんみつと珈琲とつまようじ入れだったかな。

あんみつはまだ良いんだけど珈琲とつまようじは後始末が大変だった。店の人にも随分と叱られてしまったよ。

彼が言うには、つまようじ入れやあんみつから虫が涌いて来たように見えたということでね。じゃあ珈琲はどうしてひっくり返したのかって言うと・・・妙な言い様だけど、中に女が入ってたと、こう言ってたのさ。

・・・私には、何も見えなかったのだけどね。

そう言っても聞かなくて、挙げ句の果てには泣き出してしまってね。此れまた宥めるのが大変だったよ。

其れでね、依頼人も大分興奮しているようだし、此れは駄目だと。後日改めて伺うと言って、其の場は一旦帰らせてもらったんだ。

で、今度は先輩連れて改めて依頼人の家に行ったんだけどね・・・・・・

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~~~

兄は其処で一旦話を止め、茶を啜った。

「行ったんだけど・・・どうしたんですか。」

「依頼人が居なくてね。調べてみると、病院に入院してたんだ。」

「入院?」

何か怪我をしたか、はたまた、精神を病んでしまったのだろうか。

僕がそう聞くと、兄は可笑しそうに笑った。

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「どうりで私には何も見えなかった筈だよ。其の依頼人は、覚醒剤の依存者だったんだ。」

Concrete
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裂久夜さんへ
コメントありがとうございます。

一応、変な仕事を回した詫び金を貰ったそうですが、やっぱり額は少なかったそうです。
危険ドラッグとかが蔓延しだしたら、其れこそ商売あがったりだと兄も嘆いていました。

宜しければ、次回もお付き合いください。

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YUKA Hosakaさんへ
コメントありがとうございます。

返信が遅くなってしまいました。
申し訳御座いませんでした。

なんか、わざとらしいですよね。話し方を変えた方が却って怖いんじゃないかと思います。けど、兄からあの口調を奪ったら変態しか残りませんから、ご容赦ください。

統一性の無い文章なので、何だか全体にグチャッとしちゃってますけどね。

何だか照れますね。
僕も、何時も読んでくださっている皆様が大好きですよ。
・・・・・・書き慣れてないこと書いたんで鳥肌出ちゃいました。あ、皆様が大好きなのは本当ですよ!

先日やっとドーナツon theお尻状態から脱しました。地べたに直接座れる喜びを噛み締めて居ります。

兄達の話、新しく書きました。宜しければ、お付き合いください。

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あんみつ姫さんへ
コメントありがとうございます

返事が遅くなってしまいました。申し訳御座いません。
お久し振りです。

兄の友人が甘味処をやってるんです。
僕もよく連れて行って貰ってるし、此れからもちょくちょく登場してくるかも知れませんね(笑)

大分遅くなってしまいましたが、兄達の話の続きを新しく書きました。
宜しければ、お付き合いください。

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mamiさんへ
コメントありがとうございます。

返事が遅れてしまい申し訳御座いません。
お久し振りです。

お給料・・・というか、貰ったお金の中から幾らか引かれて、改めて渡されるみたいです。
紹介手数料みたいな感じでしょうか。こういう時に説明が上手く出来ないのが何だか申し訳無いです。
・・・幾らぐらい貰ってるんでしょうね。そんな高給取りな感じはしませんが、カツカツにも見えないんですよね。

やっと兄達シリーズが書けました。遅くなってしまいすみませんでした。宜しければ、お付き合いください。

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猿兄様のお話は、とても流れが良くて芝居がかっていると言うかアレで、毎回楽しませて…いや、怖がらせて頂いております。…と言っても全部紺野さんの文才のタマモノなのでしょうけど (^_−)−☆

紺野さんのお話は、何度読んでも飽きないし、時々すごく笑えてしまうし、癒されるお話も数々あるしで超大好きです‼︎ (作品だけではなく文才のある貴方様もですよ☆)

ドーナツクッションに座っているだろう紺野さんを想像してしまい、笑えるやらカワイソウやらで複雑な気分で御座いますww。

いつもお世話になっておりましてありがとう御座います♡
次はちび兄様達だぁ\(^o^)/ イェーイ‼︎
幸加

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なるほどなるほど…それは怖い…
一番関わりたくない人種ですね。
しかし…兄さまがお給料制だったとは…と、なれば、私としては、あちらの兄さまの収入も気になってしまう…
いやいや、すみません。下世話なことでした。
本編の続きでも、脱線したお話しでも、お待ち申し上げます。

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