中編5
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【祝祭】ソバニイマス

このお話は今回アワード賞を受賞されたロビンM太郎.com様に捧げます。

興味の無い方はスルーして頂けるとありがたいです♡

これは今から6年も前、私がお水をやっていた時のお話です。

ここはガールズBAR。

カウンターだけのお洒落なお店。

レギュラーメンバーは4名。

皆んな若くて可愛い女の子ばかり。

ぶりっ子キャラの優ちゃん。

歳を3つも誤魔化している17歳の愛ちゃん。

いつもスーツ姿でショートカットが売りの、八重歯が可愛いひなのちゃん。

そして私。

皆んな本当に仲が良くて、お客さんの前でお互いに写メを撮りあったり、抱きついたり、時にはノリでチューなんかもしたりw

店長の龍さんにも「お前らって本当に仲が良いよなー!\(゜∀。*)ノ」って、からかわれたりなんかして。

でも…

でもそれは実は表の顔なんです。

本当は全く仲良くなんてないし、お店以外で遊んだ事なんて、たったの一度もありません。

一度、着替え室でひなのちゃんの財布からお金が消えた時なんて大変でした。龍さんが来るまでの時間、お店では大喧嘩です。

お互いに罪を擦りつけあい、髪の毛を引っ張ったり、罵詈雑言をぶつけ合ったりで、全く収拾がつかなくなってしまいました。

特に、優ちゃんのぶりっ子キャラとは程遠い口の悪さは、もはや異常でした。

今日は月末の金曜日。

お店にはレギュラーメンバーが勢ぞろいです。

バタバタと時間は過ぎて、時計は12時を回り、お客様が一旦引いた頃合いでした。

カラン♪♪

「いらっしゃいませー♪」

ふらりと現れたのは、店長の先輩でもある常連さんのロビンさんでした。

「あ、兄貴!お疲れさんす♪」

ロビンさんはすでに何処かで飲んできているのか、もう顔がカラーコーンの様に真っ赤っかでした。

「おう!お前らちゃんと働いてっかー?!寂しい男共から毟れるだけ毟り取るんだぞー!んっ?なんだ龍じゃねーか、何してんだお前こんなトコで?なんてなw…ひひ…( ´ ▽ ` )ノ」

そう言いながら、ロビンさんはいつものようにカウンターの一番端っこに座りました。

「いやー兄貴!いきなり冗談はやめて下さいよw 俺だってほら、最近はこうやって真面目に働いてんですからー」

「んっ?真面目にやってる奴が夜な夜な風俗通いか?ある意味真面目だけどな♪…なんてなーwひひ…( ´ ▽ ` )ノ」

「あ、兄貴!しっ!シーー!∑(゚Д゚)」

今日もロビンさんの冗談が冴え渡っています。もう、お店の女の子どころか他のお客様まで大笑いでした。

しかし、一人だけ全く笑っていない人がいます。

それは、優ちゃんです。

どうやら優ちゃんは、昔からロビンさんの事があまり好きではないようです。

いつもはどんなお客様に対しても得意のぶりっ子キャラを演じられているのに、相手がロビンさんになると愛想笑いの一つも出来なくなります。

「おい優!おまえまた俺の顔見たらそんな不機嫌なツラしやがって!なんか俺に怨み事でもあんのかよー!なんてなーw…ひひ…( ´ ▽ ` )ノ」

「………… 」

今回のはスベったようです。優ちゃんどころか誰も笑っていません。

優ちゃんは明らかに不快な表情を浮かべながら、トイレに入って行きました。

「あ、兄貴、優と昔なんかあったんすか?あいつがあんな表情すんの兄貴がいる時だけなんすけど…」

ロビンさんはいつになく神妙な表情を浮かべながらグラスに口を付けました。

「んー、ダメだわかんねーな!俺に怨みがある奴なんざ、世の中にごまんといるからな…ひ… でも、ただ一つだけ気になる事があんだよな…」

「気になる事?」

「ん、ああ、前から思ってたんだけど、優の顔… どっかで見た事あんなって思ってたんだよ。それを最近フッと思い出してな。実は俺が18の時に別れた女にそっくりなん…」

バタン!!!

その時、トイレのドアが勢いよく開きました。

「ロビンさん、やっと思い出したんですね…」

寒気を感じるほどに無表情な優ちゃんが、中からゆっくりと出て来ました。

手には果物ナイフ。

まるでそこだけが違う生き物かの様に、ブルブルと震えています。

「あなたが思い出した女性は、あたしのお母さんです」

「…えっ?」

「ロビンさん、あなたが昔捨てたその女性のお腹の中に、赤ちゃんがいた事はご存知でしたか?」

「な、奈美子の事か?…ひ… お、おおお前!もしかして奈美子のガキか?!」

ロビンさんは明らかに心当たりがあるかのように、椅子から転げ落ちました。

そこへ、両手でナイフを握りしめた優ちゃんがにじり寄ります。

「そう、お母さんはあたしを産んだ後、女手ひとつで一生懸命あたしを育ててくれた…朝から晩まで仕事ばっかりしてた。ずっとお父さんは死んだって聞かされてた!」

その時、カウンター奥の誰もいないスペースに、淡い水色のニットを着こんだ一人の女性の姿がふわりと浮かび上がりました。

誰もその存在に気づいていないようですが、私にはそれがハッキリと見えていました。

色白で黒髪が綺麗な、優ちゃんにそっくりな女性でした。

「し、知らねぇ!!な、奈美子の奴妊娠してたんかよ!なんで言わなかったんだアイツ?!」

ロビンさんは後ろ向きで必死に優ちゃんから逃げようと、床を這いずっています。

「お母さんが病気で亡くなった後、日記を見つけたの。写真も挟んであった。それでロビンさんの事を知りました」

すると、淡いニットの女性がスゥッと滑るように優ちゃんの後ろまで移動してきました。

女性は優ちゃんを見ながら泣いていました。

「お母さんがあなたの事をどれだけ想っていたか知っていますか?18であなたに捨てられてから誰とも付き合わずに、あなたの子供、あたしを育てるだけの人生… 」

「…ひ…う、嘘だ!嘘だろ?!お前が俺の子供だって?」

優ちゃんは我慢していた涙を流しながら、ナイフをロビンさんに向けました。

「あたしはあなたの事をお父さんだなんて認めない!こんな卑怯な男を絶対に認めない!お母さんを死ぬまで苦しめた男を絶対に許さない!」

「ひっ!や、やめろ!バカこっち来んな!」

その時、優ちゃんの手から自然とナイフが滑り落ちました。

「お、お母さん…」

淡いニットの女性が後ろから抱きつく様に優ちゃんの両手を優しく握っていました。

「ひ、ひえ!!な、奈美子!!」

ロビンさんにもそれが見えたのでしょう。

呆然と立ち尽くす龍さんの後ろ手に、慌ててにげ隠れました。

ロビンさんのそんな男らしくない、情けない姿を見て、優ちゃんは何かを悟ったかのように何も言わず女性と共にお店を出て行きました。

あれから何年もたちますが、優ちゃんの姿を見た人は誰一人としていません。

優ちゃんの言った事は本当だったのでしょうか?

でも私は、お店を出る時に淡いニットの女性が振り返ってロビンさんに向けて言った一言が今でも忘れられないのです。

『 ワタシと優は、これからもアナタのソバニイマス 』

その後、ロビンさんが経営する中華料理屋さんで不思議な噂が立ち始めたのは、また別のお話です。

…ひひ…

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きょえー∑(゚Д゚)

ま、魔衣子氏までさんくすです!

ふむふむ、当たらずとも遠からず…ひ…

よく俺の人生をご存知で…ひひ…

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