短編2
  • 表示切替
  • 使い方

誰かの声

若い頃、昼は海の監視員(ライフセーバーではない)夜は工場に勤務してがむしゃらに働いていた。目的は車を買うためだった。友達とソアラをどっちが先に買うか勝負していた為である。

separator

監視員をやっていた時、浜辺約4㌔を船と監視塔のようなもので監視するのだが、基本遊泳禁止が多かったので日焼け目当てや軟派目当てが多かった。

売店の女の子と仲良くなり、車買ったら一番に乗せてねとか、良く話していたが2、3日後からバイトに来なくなった。

separator

この海は青潮になるとアカエイが多くワタリガニも取れる為、年配の方が良く取りに来ていた。そしてアカエイに刺されるという悪循環で監視員が大忙しになっていた。浜辺から一般道まで防風林になっていたから一般道路まで刺された人を連れていき救急車に乗せるまでが大変でした。

separator

ある暑い日が続く1週間。

毎日1人か2人アカエイ被害に会いガタイが

いい俺が必ず一般道路まで刺された人を運ぶ役に。

防風林を歩いていると

『早く助けて~』

と声が聞こえた。

その声が毎日毎日聞こえて来て不気味になって来た頃、防風林の中で女性の遺体が発見された。

separator

警察から色々聞かれ監視員達が居なくなってからの事件と分かり数日後犯人は捕まった。

若い暴走族の犯行で暴行しようとしていたら暴れたので殺したと監視員のトップの人から聞いた。

その女性はあの売店の女の子だった。

separator

その後念願の新車のソアラを買い、その海に行った時に防風林に花束を供え家路に着いた。

1週間もたたない内に車の中でオーディオから女性の声のようなものが音楽に紛れて聞こえて来るようになった。

separator

そして悲劇が起こった。

雨の日走っていると助手席に売店の娘が座っていた。あの時と変わらない笑顔で。

separator

パニクった俺はハンドル操作をあやまり駐車していたトラックに追突。トラックの荷台がフロントガラスを突き破り顔の数センチ前で停止。

俺の命は助かったが愛車は鉄屑になってしまった。

separator

車は廃車になったけど、ずっと約束が気になってたから、また逢えた事が嬉しかったのが正直な気持ちだったのはいい思いで。その後また懲りずにソアラを買うため必死でバイトに明け暮れた10代でした(笑)だけど一台目ソアラ2週間で廃車って(涙)

Concrete
コメント怖い
6
5
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信

沙羅さま

保険では全然ダメでした。自損事故で相手のトラックの修理代やら示談金やらで確か法律で自分が乗った時点で中古車扱いになるって言いくるめられた覚えがあります。その後同じ車を買って8年位お世話になりました。その時の後遺症なのか寒くなると首が痛くなりますの(涙)

返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信