中編4
  • 表示切替
  • 使い方

呪いのマンション

大阪市西〇川区のとある場所に荒れ果てたマンションがある。そのマンションは取り壊されないままになっている。もちろん住む人もいないので野良犬や野良猫の巣窟だ。マンションの玄関やホールは暴走族のスプレーの落書きだらけで近所の人さえ近づく事が出来ない薄気味悪い所である。幽霊が出る噂で毎日胆試しに来る若者が多く、特にお盆の8月頃がピークで高校生の同級生グループでこのマンションの胆試しを決行した。

8月12日の深夜のファミレス

この春高校を卒業し大学生や社会人になった同級生グループが集まった。

「おいおい、西〇川に心霊スポットがあるらしいぜ」

「ほな、大阪の貝塚病院も有数な心霊スポットやで」

「貝塚病院も比じゃないよ、そこには女の子の幽霊が出る噂だぜ。見た人達が何人もいるくらいだよ」

「ほな、そこのマンションに行こうじゃないか」

「あたし、嫌だ怖いわ」

「君って結構怖がりなんだね。この世に幽霊なんているわけないじゃん」

男女6人でファミレスを出て車二台に分乗してそのマンションに向かった。

午前2時に西〇川区の例の荒れ果てたマンションに到着した。辺りは人気もなく真っ暗でクラウンのヘッドライトが照しているだけで気味の悪い所だ。車のヘッドライトを消しエンジンを切り、シーンと静まりかえり虫の鳴き声だけがする。

「やだ…… 薄気味悪い。ねえ帰ろうよ」

「高校の時、勝ち気だったのに案外弱虫だね」

懐中電灯の灯りだけがマンションの玄関を照している。マンションの玄関に近づき暴走族の落書きスプレーが不気味さ醸し出している。中に入るとホールは

ガシャ ガシャ

ガラスの破片を踏みつける音だけがする。

「きゃあ‼」

光るネコの瞳でビックリしたのか

ニャ~ン

「何だ猫か、びっくりさせるなよ」

真っ暗なマンションの階段を踏みしめるようにゆっくりと上がっていくと三階の廊下で懐中電灯の灯りだけが頼りで幽霊が出没すると言われる305号室のドアの前に立つと変な空気がまとわり付く感じで気味が悪い。ファミレスを出る時は熱帯夜で気温が27度で蒸し暑かったがここに来るとひんやりとし寒気を感じ始めた。

「さ寒いよう‼」

と大学生の女の子が言うと

「俺もマジで寒い 三月みたいな寒さだ」

部屋のドアを開けると

ギィイイイ………

中に入るとやはり暴走族が入って胆試しをしたのか落書きスプレーが目立つ。部屋の中を懐中電灯で照らした。テーブルと食器棚があり荒れた畳の上に割れた食器が燦爛している。

「何かションベン臭いぞ、誰か小便してないか?」

ションベン臭さはベランダから臭ってくるのでベランダを開けると誰もいないのだ。

「さ寒い おなか空いたよ……」

と同級生の女の子が戯言を言っているを聞いて

「お前、腹へったのかファミレスでステーキセット食っただろう」

「寒いよう 寒いよう おなか空いたよ…… お父さん許して下さい許して下さい」

「ああん、お前何言ってるんだよ‼ 気でも狂ったんか⁉」

同級生の女の子が何か取りつかれている。怖くなり部屋を出ようとドアに

「ぎゃあああああ‼」

ドアに髪がボサボサで痩せこけ、顔が真っ赤に腫れがあった9歳ぐらいの女の子が立っていた。股間から小便を垂れ流し

「ねえ た す け て……」

若者は一目散に下に降りていったのだ。女の子は追いかけてくる。

「ねえ、アタシを焼肉屋に連れて行って……」

マンションの玄関の外に出て車に乗り込むと

「みんな、乗ったか?」

「乗ったわよ‼怖かったわ」

キュルルル キュルルル

車にエンジンを掛けようとすると

キュルルル キュルルル キュルルル

「エンジン掛からん‼」

「バッテリーでも上がったんかい」

「いや、ファミレスに出た頃は一発で掛かったんだが……」

キュルルル ブッオオオオ……

「掛かった 掛かった」

マンションを出て暫く走っていた 若者の家に着いたのは午前6時で夜がすっかり明けていた。二台とも駐車場でぐったりしていたのか昼の12時まで車で寝ていたのだ。

起きて車のフロントガラスを見てみると

「うわあっ‼」

小さな手形がいっぱい付いていたのだ。

近くのお寺の住職に話を聞くと

「それは7年前の出来事じゃ、お前ら行ったマンションで悲惨な事件があってのう。お前ら見た女の子だろ、内縁の男と実母に虐待され死んだのだ。そして死んだのち埋められてしまっんだ。二人とも警察に逮捕され裁判の後に刑務所に送られんたが、女の子の地縛霊が強いからそのまましておいたら取りつかれて命が危ないからお祓いをする」

胆試しをした現場のマンションに住職と一緒に弔いをした。現在の部屋にお経を唱え、霊を祓いジュースやお菓子、食べ物を御供えした。住職いわく

「女の子の霊だけでなく悪い霊や動物霊までいっぱいおるわ」

Normal
コメント怖い
0
5
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ