短編2
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ヘン

私は中学二年。部活を終えて帰ってきたところだ。

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ただいま。

.......返事がない。

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家に誰もいないことなど、特におかしいことではない、買い物にでも行っているのであろうと思い私は私服に着替えてリビングで録画しておいたドラマを見ることにした。

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そうだ、ジュースでも飲もう。

私は、キッチンに行った。

暗い。誰もいないキッチン。

食材のないキッチン。

水の流れる音がしないキッチン。

微笑みのないキッチン。

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見たことがないわけではない。それでも、何故かその時はとても暗く見えて少し怖かった。

少し鼓動が早くなる。

私は、急いでジュースとコップを手に取りリビングに走った。

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おかえり。

突然言われたのでびっくりした。

「母さん帰ってきてたの?」

「ずっといたわ」

「そう、気づかなかったの?」

「気づいてた」

「なんだ言ってよ、びっくりするなーほんと」

「母さん上にいるね」

そう言って、母はリビングから出て行った。

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まぁ、いいや少しびっくりしたけど。

私はドラマを見はじめた。

トレンディ俳優が出ているそのドラマは恋愛もので、いつもは時間を忘れて見入ってたのに何故か頭に入ってこない。

少し緊張する。

その時思い出した。母は、「上にいるね」と言ったのだ。そんなこと母はまず言わない。第1私と兄の部屋しかない二階に行って何をすると言うのだ。

変だ。さっきから変だ。

いつもは明るい母が私が帰ってきて「ただいま」に反応しないわけがない。

私が最近ジュースを飲み過ぎているのを注意されている最中なのに、見過ごすわけがない。

おかしい。

まるで、私の家じゃないみたい。

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確かめるべく、私はリビングから出ようとドアに手をかけた瞬間

shake

本能が語りかけた。

開けてはいけない

そのドアは少し隙間が空いていた。丁度覗くのに丁度いいくらい。

私はリビングの窓から飛び出した。そして塀を越え走った。

とにかく走った。

気づけば学校にたどり着いていた。職員室に入り、先生にこのことを話そうとした瞬間、自分の携帯が鳴った。

母からだ私は恐る恐る電話に出た。

「どこに行ったの?早くかぇ....」私は電話を切った。それは母の声に似ていたが母ではなかった。あれは誰だ、誰なんだ。

怖い

怖い

怖い

やめて

ニセモノの母

あれはニセモノ母

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その時丁度、担任の教師が私に向かって走ってきた。

「大変だ、君のお父さんの乗っていた車のブレーキが故障して意識不明の重体らしい、すぐに病院に行こう。それとお母さんに連絡がつかないようだが何か知っているかい。おい、.....大丈夫か?そういえばさっきから泣いてたな、しっかりしろ今から行くぞ。おい....ぉい...」

私はその場に倒れた

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あれは、ホンモノの母だったのかもしれない。

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