旅館の、いわくつきの部屋

中編3
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旅館の、いわくつきの部屋

ある夏の時期、俺は休暇を取って、妻と旅行に出かけた。

宿泊先である旅館に泊まったんだけど、それがたまたまいわくつきの部屋に当たってしまったんだ。

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なぜそこに選んだのかと言うと、割安だったから。

そこそこ綺麗にしてあるところでないと妻は嫌がるので、きれいで良い宿泊施設で、尚且つ割安なところを探してたらその旅館に行き着き、妻の了解を得て、予約した。

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旅館に到着した時もぱっと見、ちょっと古い感じで、もちろんボロくはなく、旅館内も外もきれいに掃除が行き届いており、清潔感がある印象を受けた。

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でも、部屋に案内され、そこに入った時からなぜかじめっとしてて。

午後3時だと言うのに薄暗かった。

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若干気味が悪い印象があったのだが、どうせ、1泊して、帰るからいいかと思ったんだ。

妻も「まあ仕方ないか」と、苦笑いしながら言ってた。

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少しして、上の階から複数の子供の走る音がした。

正直、走り回る足音がうるさかったけど、妻が「子供のすることだから。そのうち疲れて静かになるよ。」と言ったので、放っておいた。

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上の階はさわがしかったけど、荷物の整頓が終わる頃に、

「せっかく来たんだし、散歩いこうよ。」と、誘った。

帰ってくる頃にはさすがに落ち着いてるだろう。旅行だからはしゃいでるだけなのだろう。そう思って、貴重品持って、外で周辺を散歩しに出かけた。

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その地域の美味しいものを食べたり、観光したりして、とても楽しんだ。

旅館に戻ると、温泉に入って、旅館の食堂でおいしい食事を食べた。

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だけど、夜も10時になり、そこそこ遅くなっても、音はやむことなかった。

あまりにやかましいのでフロントに電話して「ちょっとうるさいんですけど…」と言って、フロントからうるさい部屋の人へ注意をしてもらおうとした。

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そしたら、しばらくしたら音はやんだ。

これでやっとゆっくりできる!と、思って、テレビ見ながらゴロゴロしてたんだ。

……でも、30分ほど経つと、またバタバタとうるさい。

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腹が立って上の階の部屋に行って直接文句を言ってやろうと思い、階段を上ってドアの前に。

その部屋のドアをノックしても誰も出て来ない。

「あの〜すみません。」

もう一度ノックするも、反応がないし、人の気配がしない。

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おかしいな?と思って聞き耳を立てたが部屋の中はシーンとしている。

「居留守かな…?」

おかしいな…。と、疑問に感じながらも自分の部屋に戻った。

でも部屋に戻るとやっぱりうるさくて、騒がしい。

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妻も「さすがにちょっと…」と、困惑してたし、自分も、腹が立ってきて再度、フロントに苦情を言った。

「すみません、上の部屋がうるさいんだけど。」

「………!?大変申し訳ございません!すぐに部屋にうかがいます!」

電話口で慌てた様子を感じたが、女将と仲居さんが血相を変えて部屋にやって来た。

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そしたら、直ぐに部屋を替えるとの事。

新築したばかりの別館で、特別室に案内された。

ちなみに、翌朝の朝食も、思ってたよりも豪華になっていた。

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後でよく考えたら フロントから2階に電話してなかった。

全くベルの音がしてなかったんだよ…。

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