短編2
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水子部屋

ふと後ろに小さな気配を感じる。

気のせいだろうか、このアパートに住み始めて半年になる。

大学行くためにアパートで一人暮らしを初めて、不動産屋で見つけたこの物件。

今では事故物件の告知は義務化されているし、そこまで古くもない。

そんな物件でこの気配を感じるようになったのは住み始めて1ヶ月のことだった。

近隣住民に挨拶をしに行ったときには、小さな子供はいなかった。

近所の子供が遊びに来ているのかとも思ったが、いつも見る姿は1人だけだ。

じゃあなんで?と思って半年。

ついに金縛りにあい始めたので、正体を見てやろうとカメラも設置して構えていた夜、案の定爆睡していたところで金縛りにかかった。

まあその時は 「子供の幽霊なんて余裕っしょ」 とか思ってた。

俺はのほほんとして待っていた。

「そいつ」の正体を見るまでは――。

しばらくすると部屋の隅に気配が現れてもぞもぞと動いている。

一応、金縛りにあってても目は動いてたからその隅に目を向けてみた。

最初は暗闇に慣れてなくて、なんかバッチリ幽霊のイメージの白っぽい子供がいるとしか思わなかったけど、だんだん慣れてきて見えちゃったんだ。

首の曲がった白い赤ん坊が。

最初はそいつ一匹だけで、他にはいないと思ってた。

でも違った。

部屋全体を見渡すと、天井、壁、床全てに青白い赤ん坊がいた。

一人は腕が曲がっていて、足が曲がっていて、横腹がえぐれていて。

そいつらはどこかしらにひどい怪我があった。

で、俺はというとそこで気絶しちゃって。

次の日、色んな所に付いた手形見て急いで引っ越した。

それから家賃の関係でしばらくその部屋に居たんだけど、その間いつあいつらが出るかビクビクしながら暮らしてた。

後日わかったんだけど、アパートが建ってたところに昔そこには助産院、と言うか堕ろすことを目的とした病院があって、手術室がちょうどその部屋のところに位置してたんだよね。

そこで何人も堕ろされて、どうしても生まれた子供はそこで殺してたんだ。

もうそんなところには住みたくないけど、そういう引きがあるのかと思うと怖い。

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