これは同窓会で20年ぶりに再会した友人から聞いた話です。
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そういや昔気持ち悪い子供に会った事があるよ。
公園でアイスクリーム食ってたら何十分も直立不動で動かないランニングシャツと短パンの男の子を見つけたんだ。
遠目に見ても相当に顔色が悪かったのを覚えている。
もしかして迷子か病気かなと思って様子見してたらその子がこっちに気付いて走って来た。
「おうちにかえろう」
第一声がそれ。
おうちってどこ?
ボクのお名前は?
そう聞くとその子は無言で走り出した。
走って追いかける。
気のせいか人通りの無い寂しい道に入っていく。
もしかして一人で帰宅するのが怖かったのかな?
怖い所か街道からは遠ざかり続けて郊外の雑木林へとどんどん進んでいく。
そんな!
この先は森で民家は無い筈!
「君!お家は本当にこっちで合ってる?」
子供の首がグルンとこちらに振り返る。
「オウチニカエロウ」
思えばここで引き返せば良かった。
しかしこんな山道で子供を一人にする事は許されない。
結局、夕方になるまで走らされた。
「嘘だろ?」
ヒビ割れたアスファルト酷道先の雑木林にボロボロの小さなトタン小屋が見えた。
子供はトタン小屋へと吸い込まれていった。
良かったな・・・幽霊君おうち帰れたね。
成仏しろよ?
そう呟いた瞬間
「エモォノダァ」
小屋からドスの聞いたイガラっぽい咆哮が森に響いた。
トタン小屋から無数の青白い子供の顔がこちらを覗いていた。
子供達の大口には鋭い牙が並んでいた。
俺は来た道を全力疾走して何とか怪異共から逃げ延びた。
この時程に陸上やってて良かったと思った日は無い。
作者退会会員