中編4
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公園のトイレ

その日は、お付き合いしている同期の男性とドライブをしていた。

18時半辺りに夕ご飯を某ファミレスで食べたんだけど、 結構ゆっくりしちゃったし食べすぎたしって感じで。

時間は19時45分。

時間も微妙だし

これからなにかして遊ぶって気にはなれないけど

このまま帰るのは早い……

話し合ってたら彼が

「この辺大きい公園とかないの?散歩したいんだけど。」

と言った。

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そのファミレスの場所は

私の家から車で10分かからない距離の場所。

彼と私の家は片道30分はかかる場所であり、

彼はこちら側の土地勘など無い。

地元である私からしたらこの辺の公園と言うと

「N公園」しか無かった。

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私はその公園にはよく昼間に行っていて

散歩コースに使っていた。

家から遠くはないが、

徒歩で行くには少し辛い距離なので

駐車場に車を停めて公園内を一周していた。

ちなみに私の祖父がシルバーのアルバイトをしている。

そのアルバイトでN公園を掃除をしている。

それも昼間である。

夜のN公園は目の前を素通りすることはあったが、入ったことなど一度もないし、家族も一度もないと思う。

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霊感ってよく言うけど、

私はたまに

「今の幽霊?」

と思うことはあった。

だけどほんとに霊感強い人って

「ここは出る気がする」って

入る前の雰囲気で分かる人もいるみたい。

私の元彼は自称霊感強い人だった。

見えたことは無いけど気配を感じるらしい。

その場所にN公園も入っていた。

「N公園もいる気がするのよね。」

って。

でも私はN公園の雰囲気が嫌いじゃないので

一切信じていなかった。

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彼の運転でN公園にたどり着いた。

彼は

「あ、ここ来たことあるわ!部活でね!ホント何年ぶりだろう。色々変わったなー」

と言った。

彼氏は全く幽霊なんか信じないタイプの人で、

づかづかと真っ暗な公園へ歩いていく。

街頭はあるのにどれも消灯していて

とても不気味な雰囲気を放ってた。

そんな時、元彼の

「N公園もいる気がするのよね」

という言葉が一瞬過った。

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入ったらすぐ、そこそこ小綺麗な公衆トイレがある。

彼氏「俺トイレ行きたい。」

私「私もついでに。」

と全然あかりのないトイレに、2人で向かった。

彼氏は先に男子トイレにづかづかと入っていく。

私はトイレの雰囲気の怖さに圧倒されていた。

でもトイレに行きたかった。

トイレの入口に経つと、

LEDのセンサーライトが明るく照らした。

手入れも行き届いたごく普通のトイレ。

小学生の頃、明るい時間に友達と入ったな。と懐かしい気持ちにもなったが、その時とは違う。

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なぜか重い空気を感じた。

個室に入る。ドアは鉄でとても重い。

用を足し、立ち上がろうとした時だった。

ジャーーーーーーーと流す音が聞こえた。

彼氏が先に出たのだろうと思った。

shake

その時電気が消えた。

その時の私は冷静で、

センサーライトだから動いたらつくだろう

と思ったから。

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だけど動いても、

全然電気がつかなくて

軽くパニックになった私。

shake

「!」肘に何かが当たった気がし、

急いで捲っていたスカートをもどし

「〇〇!!!!」

と彼氏の名前を叫びながら走った。

だが、外には彼氏はいなかった。

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男子トイレから

「何騒いでるの!」

と彼氏の声が聞こえた。

どうやら個室にいたらしい。

「トイレの電気が消えたの!」

と騒ぐ私を、男子トイレから

「落ち着け落ち着け」

となだめる彼。

そしてその状況であることに気づく

彼はまだ個室にいる。

じゃあさっきトイレを流したのは?

そう思った時にはトイレの電気はもうついていた。

その時に、

肘に当たったのは自分のバッグだと気づき、

猛ダッシュで取りに行った。

なるべく周りを見ないように。

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そしたら男子トイレから流す音が聞こえ、

やっと彼が出てきた。

泣きそうな気持ちを抑えながら私は彼に飛びついた。

「怖い気持ちはわかるけど落ち着きなよー」

と年上の彼は優しく私を慰めてくれた。

そして、散歩を始めた。

怖すぎて私は、

彼が歩きづらいくらいにひっついた。

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トイレから少し離れてから、

私は全てを説明した。

彼氏に話して分かったことは、

流す音は男子トイレではなかったということだった。

彼氏には全く聞こえておらず

音の発生源は女子トイレだとわかってしまった。

しかもその話をしている間、

彼は何度も後ろを振り向いている。

私「なに?」

彼「いや、後ろから……石を弾くような……なんか聞こえるんだよ……」

私「まじやめてよ……」

少し静かにしてみると、

確かにそんな感じの音が聞こえて、

ただただ怖かった。

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散歩を終えた私達は、彼の車に乗り込んだ。

N公園の向かいの施設にはグラウンドがあり、

そこではサッカー少年たちがそれぞれ車に乗り込み

帰りはじめていた。

車に乗り込んだ私は、

安堵したが怖さのあまり涙が出てしまった。

彼はそんな私を抱きしめてくれて、

すぐに落ち着いた。

そのまま私は彼と車の中で

ティック〇ックを見ていた。

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10分くらいがたった頃に

shake

「トントントントントン」

と音が聞こえた。

ティック〇ックの音かと最初は気にしなかったが、やっぱ違う。

shake

「トントントントントン」

明らかに車を手のひらで叩くような音だった。

さすがにそういう類のものを信じない彼も

青ざめた顔をし、すぐ車を出した。

ルームミラーを見ても後ろには何もいなかったらしい。

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この話を怪談話が好きな幼なじみに話すと

「あの公園、トイレひとつじゃないやん。2つあると思うけど。どっちかがそんな話あるよ。」

と言った。

夜の公園ってやっぱ色々といるものなのでしょうか?

初投稿で慣れないところもあり読みにくかったかもしれないですが、

読んでくださった皆さん

ありがとうございました。

Concrete
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