中編4
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みつえちゃん

これは、知人が北海道の東側の街に住んでいた時の話

知人は所謂、廃墟マニアでその日も車で直ぐに発進出来るようにとスマホ片手に市内近辺で良さげな廃墟を探していた

あらかたネットを見て目ぼしい情報がなかったので長時間路肩に止めていて不審がられて通報されてもあれなので車を発進させ帰路につくことにした

知人がそれを見つけたのは偶然だった……

その日はいい廃墟を見つけられなかった気分転換に帰り道を少し変えようと近くの住宅街に入った

そこで、知人の目にある建物が目に入った

それは、およそ6棟程のアパートだった……そこそこ新しめだったのだがアパートの前には『売り物件』の看板

そう、それは廃アパートだった

この辺の廃墟はもう回り尽くして正直もうあんまり近場では好みの廃墟には巡り会えないと思っていたが

こんな自宅近くに良さげな廃墟があったことを知人は喜んだ

早速、中に入ろうとするがどの部屋も鍵が掛かっている

しかし、一部屋だけ鍵の掛かってない部屋があった

二階の真ん中の部屋だった

ドアを開け中に入ると、部屋からはカビ臭さとホコリっぽさに混じり鼻をつくような臭い……古い公衆トイレのような臭いがしたという

臭いを我慢して知人は中へと入っていくと部屋の中は少し荒れていて住人の残置物らしきスーツケースなどが散らばっていたが…

これと言って特徴のないワンルームタイプの部屋だった……

知人曰く入る前はそれなりに雰囲気のあるアパートだと思ったらしいが

実際のところの何もなさに興が覚めてしまった

奥の方まで確認して部屋から出ようと思ったとき突然声が聞こえてきた

声は部屋の中から聞こえる高い声と時々低い声が聞こえてきた

何を言っているかというと「あんっ」「いやんっ」「あっあっあーーーん」…といった明らかな喘ぎ声

しかも、高い声と低い声の主はどうやら同じ主のものらしく…喘ぎ声を出しているのは恐らく男性であるということがわかった

基本上ずった女のような喘ぎ声と時折聞こえる地声らしき低い声

そして、喘ぎ声に混じり男は「みつえちゃん!みつえちゃん!らめぇっ!!イクッ!イッちゃうっ!!」

と誰かの名前を頻繁に言っていた

『みつえちゃん』という名前、呼び方からするに恐らくは女性でないかと思うが

声は、風呂場から聞こえてきていた

もしかしたら、変態が侵入して何か変態行為をしている可能性もある

知人はおもむろに風呂場のドアを開けた…

すると、やはりと言うべきか風呂の中には太った30代前後の全裸の男が壁に棒の様な物体を貼り付けてそれにケツを向け前後に動かしていた

知人「っ……………………」

心霊現象を期待していた知人にとってはあまりにも異様な状況であったタメ男を見ても驚きが隠せずしばらく黙ってしまった

男もしばらくは腰を振り続け喘いでいたが…ドアを開けられた事に気付くと固まっていた

知人「………あっ」

そして、知人が何かを言おうとした時、男はスッ…と姿を消した

知人「!?」

タダの変態だと決めつけていた知人にとってそれは青天の霹靂…

まさか、変態行為をしていた男は幽霊だった…という展開にハッとする知人

そして、再び男の高い喘ぎ声が聞こえてきた……

声はどんどん高くなり女のそれに聞こえるようになった

男は居間の方におり、男の後からまた別の何者かが男の尻に腰を押し付け前後に動いていた

恐らく男と性行為をしているであろうそれは同じく全裸で長身のモデル並の体型で顔立ちなどからは恐らく女であることは間違いないようなのだが…

その女らしき者の股には…恐らく変態男霊の尻に出し入れしているであろう男のシンボルが付いていた

それもかなり大きい

それを変態男の霊に出し入れし、変態男の胸や股間を触り変態男は気持ちよさそうに高い声で喘いでいた

そして、その喘ぎ声の中に「みつえちゃん…最高……みつえちゃん…気持ちいいよ……みつえちゃんの赤ちゃん妊娠しちゃうっ!」

と言ったように『みつえちゃん』という名前が何度も出てきた

恐らく、この女性らしき霊が『みつえちゃん』なのだろうと確信した

知人は異様すぎる行為を目の当たりにしたが…これ以上この霊達の行為を見てもなんの意味もないと悟りそのまま横を突っきって部屋を出てドアを閉め車に戻り家路へと着いた

特にその間も、その後も何もなかったという…

後日、知り合いの不動産屋に件の部屋について聞いてみたところ

部屋は事故物件ではないものの

以前、あの部屋に住んでいた住人の男が深夜に物凄い音を立てたと通報され駆けつけた警察と管理会社が鍵を開けて確認したところ

全裸で尻に…棒のようなモノ……要するにディルドを突き刺したままの状態で床に倒れている男を発見

男はそのまま病院へ運ばれたが…命に別状はなく倒れた理由も行為に夢中になり過ぎて酸欠を起こしたのが原因だった

その後、以前から奇声(おそらく喘ぎ声)等で問題があった男はこの件で更にいたたまれなくなり遠くの街に引っ越したそうな……

因みに、倒れた時にうわ言のように言っていた『みつえちゃん』という人物は男の中学か高校の同級生の女子らしい

更に、それからそのアパートで重大な欠陥が見つかり住人達は一斉退去

持ち主は修理代を払いたく無いらしく建物を手放したそうな

知人「じゃあ、あの時俺が見たのは…住人の男の…生き霊?」

不動産屋「というか……残穢……みたいなものかな?」

知人「でも、みつえちゃん…らしき女はどう説明する?」

不動産屋「……憶測だけど、お前が見たのが本当なら…それはその住人だった男が産み出した妄想が具現化した何か……

女なのに男のイチモツが付いているのがいかにもな感じだ……」

こうして知人の恐ろしく下品な心霊体験は終わった……

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