短編2
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娘の話し

何気ない家族の団欒。部屋に居て嫁と近所のオバサン達の厚かましい話しや近所の施設の騒音が迷惑だとか取り止めもない話しを時々することがあります。

そして、お向かいの奥さんが宗教の勧誘めいた話しを嫌々しに来るだとか、選挙の時だけ支持のお願いに来るとか、近所の迷惑な話しの愚痴を次々とネタに嫁の話しはいつものように続きます。

そしてそんな話しの中に、たまに、びっくりする様な怖い話しがさらりと出て来ることがあります。

それは、娘が自転車で走るとふらつくことがあるとかドブ川に落ちそうになったとか、一緒に走って居ると接触しそうになるとかあまりいい話しではない話しの合間に出てきた話しでした。

それは、少しはなれたところにある、あまり行ったことの無い地元のお墓というか墓地の前の道の話しでした。

その道は新幹線の高架下に沿った道で、古びた町工場が立ち並ぶ、陽あたりの悪い道の話しでした。

何でも、娘がそこを自転車で走っていると、何故かお墓の方へ引き寄せられてしまうという話しでした。

そして娘が言うには、その道を歩いていると、脚に何かが触ってくると言うものでそれは明らかに人の手の感じだと言うものでした。

あまりに、怖い話しをさらりと言うので、私は驚いてしまいました。

沢山の手が地面にうごめいていて、それが歩いている足に、ペタペタと触ってくると言うのです。

娘本人にも聞きましたが、理由はわからないのですが、そう言う事は、度々あるそうです。

私達家族に関係のある人は、そのお墓にだれも入っては居ないので何故そんな事が起こるのかは、分かりませんが、何かの縁があるのかもしれません。

Concrete
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