短編2
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姉夫婦

「おれさ、一流の美容師なりたいから東京行って学んで来るわ」

「うん!私はあなたのこと応援してるよ!子供たちのことは任せておいて!」

普通の妻なら子供を置いて自分の夢を追う旦那など許すはずがない。

しかし姉は旦那に惚れ込んでいるから平気で許してしまう。

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しかもシングルマザーで自分一人が子供の世話をするのは嫌だと言うのだ。

父が住む実家へ姉は子供を連れて転がり込んだ。

姉は家賃も食費もゼロな悠々自適な暮らしを始める。

そんな中、一通のとんでもない通知書が家に届いた。

「税金滞納通知書」である。

姉夫婦はおよそ10万円もの税金を払わずに生活していたのだ。

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姉は父にそれとなく払って欲しいと伝えた。

もちろん父は怒る。旦那は自由に自分の好きなことをして、そのツケの支払いをなぜオレがしなきゃならんのだ!と

普通は旦那が自分の親に相談するものを娘を使って父である自分に持ち込んでくるとは言語道断だ!と

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しかも姉は税金以外にも支払っていないものが多くあった。

トータルで50万円ほど。

結局、父は娘を助けるためだと借金を肩代わりして50万円全て支払ってやった。

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時は流れ、姉は旦那に蒸発された。

東京に行った旦那は美容師の店を任されたが、中々客が付かず挫折した。

店を任される時に多額のお金を店のオーナーから借りていたが売り上げが立たず返済ができなかった。

利息は膨れ上がり、借金は一億にも上っていた。

借用書には連帯保証人として姉の名前がある。

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その美容室はヤクザの管轄であったため、旦那が逃げたことが分かるとすぐに遠方の姉がいる家まで取り立て屋が来た。

「娘を風俗に売って一生働かせて借金を返済させるか、親であるお前が肩代わりするかどちらか選べ」

そう取り立て屋から迫られた父は推定一億を超える家も土地も車も全て売り払って娘の借金を返済してやった。

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その時の姉は泣きながら父に頭を下げていた。

「もう二度とお父さんに迷惑はかけない」

それから何年か経ち姉はある男と再婚した。

「おれは東京で一流のモデルになりたいんだ」

そう新しい旦那は告げて子を置いて東京に向かった。

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