中編5
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本物の呪物

初めまして私は見えない人です。

幽霊などは見えませんが何度か不思議な体験もしており、怖い話などは大好物の中年でございます。

いくつかのネタがありますが初めての投稿で私の心霊現象の価値観が崩壊する出来事を語りたいと思うのでよろしくお願いします。

過去に色んな所で話したことがあるので見たことのある方は悪しからず〜

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少し自身の家について紹介になりますが、亡き祖母は当時ここら地域周辺では有名な霊媒師(以後先生と語ります)に弟子入りし簡単なものですがお祓いなどもでき、常にではありませんが見える部類の人間です。今も元気な父も弟子までにはなりませんが祖母の跡を引き継いでいます。

始まりは父がまだ若い時、私の町内にある神社に先生を招いた時に戻ります。

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先生が神社を見廻る前に「この神社にはとんでもないものがあるな」と呟いたそうです。

一通り見廻り神社の神にも挨拶をした後祖母に

「○○さん、この境内にある柳の木と鬼の絵。あれはよろしくない物だ。特に絵の方はかなり穢れている」

と伝えたそうです。

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さて、その鬼の絵を簡単に説明しますとかなり古い絵です。鬼と武士が戦って手を切られる絵…父が言うには茨木童子や酒呑童子を題材に画かれた絵ではないかとのことです。

その絵なのですが何故か神社の社の中に祀られており、祖母や父は先生に言われるまで気にもしなかったのですが言われた後はとても不気味な絵に感じ、経緯を調べてもいつ誰が描いて誰が祀ったのかもわからないものでした。

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どんな思いで描いたかは知らないが描いた本人だけでなくその家系は絶対に途切れている(描いたことによる災いから)。これを家に飾ろうものなら数日で誰かが発狂すると父はその後語る。

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しかしそうは言われても中々手を付けられるものではなく、絵を撤去しようとすると色々不可思議なことが起こります。境内の榊の枝が近くに住む町人に伐採されたり(本人は何故か伐採しなければならないと感じた)、氏子総代が何人も不幸な怪我や病気になったりなど、数十年経ち近年まで触らぬ神に祟りなしのように扱われました。

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そして数年前、ある日父は突然だが数日前に町民による社の清掃作業が行われた事をふと思い出した。その時一人の町民が社内をカメラで撮影していたのを見ていたのである。嫌な予感がしてその町民に電話をしてこう尋ねたそうです。

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「この前の社の清掃であの絵を撮ってないだろうな?」

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父にそう尋ねられその人はデジカメのデータを見返した所、本人も知らないうちにその写真はありました。そしてその写真を見て異様な物が写っていたので怖くなり、印刷した画像を父の所に持ってきました。

ここで私がこの呪物に関わることになるのです。

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私はその日仕事が早いうちに終わりすぐに帰宅して一人コタツに入りまったりとした時間を過ごしていた。

そこに父が隣の部屋から来て一枚の折り畳まれた用紙を渡してきました。

私「なんじゃこりゃ」

父「例の絵の写真のコピーだ」

私「はぁ?何であの絵の写真なんて撮んのよ?」

父「多分撮らされたんだろ」

私は父から話は聞いており実物は見たことはありませんでしたが厄介な物だとは知っていました。そんな絵を写真に撮るなんてなんと命知らずなと思い折り畳まれた用紙を開きます。

そこには異様なモノが印刷されていた。

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先程も言いましたが実物を見たことがなく、鬼の手が切断される絵と聞いていましたが…全くそんな絵など見えないのです。何かモヤがかかっているような…本当に絵を写した写真なのか?そんな思いで目を凝らして写真を見ていると?

父「わからんか?」

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そう言われると少しムキになり、より細かくその写真を眺める。すると何か緑の木々(実物)が見えたので…

私「これ外で撮った?木々が見えるんだが。もしくは窓の外かガラスに反射?」

父「そんな訳ないだろ。社の中で撮られたもんだし絵しか写してないぞ?」

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そんなこんなで眺めていると不思議な事に少しづつ見えてきた…確かに鬼の絵は描かれていた…しかしモヤと思われた少し不透明な別の風景が合成写真のように被っている…そしてその風景も段々と全体像を現してきた…鬼の絵はもう見えなかった。

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それは建物の中…木造の建物…丸い座布団と机が並べてあり寺院か書院か?奥に腰までの高さの壁がありその上は何も無く外の風景が見える。草の原と木々が広がっており山の中の木造造りなのかと思った。

そして外の風景を細かく見ているとソレに気付いてしまった…

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先程までそこには草の原しか写ってなかったのに…白い人の形をしたものがこちらを向いているように見えた

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ヤバイ!!あれが入ってきたら死ぬ!!

と思い私はその用紙を畳んだ。

私「これかなりヤバイ写真やわ」

父「だな。だがわからん人が見ても絵以外に何も見えないらしい」

私「むしろ俺は絵が見えなかったよ」

その後その用紙は父が経を唱えながら外で燃やした。燃やした際に出た煙が異様だったという。

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父はこの件を発端に本腰を上げ、絵を写経をコピーしたもので封して倉庫へ保管、風水的に日時、場所、方角の良いタイミングで燃やすことに決めました。そして今年無事に焼却されました。

ちなみに私はその写真を見た年、自身に軽い痺れが残る怪我や他の不幸がありました。やはり本物は少し覗いただけで恐ろしい威力だと思いました。

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また封した後にどんな絵なのかを封を少し外して盗み見した町民もいましたが、それが原因かはわかりませんがその後病気で入院し数ヶ月後亡くなりました。

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今回の件で私の心霊現象の価値観はかなり変わりました。今も怖がりですが大抵の怖い話が怖く感じなくなってしまったのです。心霊写真にしても写っていてもただそれだけ…本物は見ただけで影響を与えてくると体験したのもあります。

テレビや雑誌に出せるものは人前に出せるレベルなのだとよくわかりました。

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皆さんも気をつけてくださいね。本物はすぐ近くにあることもあり意図せず接触したり、また近づいてくることもあるので。

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余談ですが……

絵が焼却された後、父にその写真がどんなふうに見えたかを尋ねました。すると

父「一面の水田と晴天の空が見えた」

私にだけアタリキツいなチクショウめ!!

Concrete
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