短編2
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拍手の音

私が初めてみたのは小学生の夏、友人の家でだった。

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湿度が高く、気温も30度をこえていた。

その日、友人宅のリビングで高校野球を見ていた。

私と友人は地元の野球チームに所属しており、いわゆる野球少年だった。

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友人の両親は出かけており、友人と2人

ダラダラとテレビを見ながら、アイスを食べ、ポテトチップスを食べ、麦茶を飲み、優雅な休日だ。

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扇風機がついていても庭がみえる大きな窓からの日差しがあつく、室内にいても汗が垂れてくる。

私のコップが空になったのをみて、

友人が「コーラ、あるんだよね」

いたずらっぽくニヤリと笑う。

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私「え!飲んでいいの?」

友人「この間買ってきたんだよね。飲んでいいと思う、飲んじゃおうよ」

私の家では普段ジュースを買ってもらえないため、友人宅で飲めるコーラにやや背徳感を感じながらも内心かなり嬉しかった。

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友人がリビングからキッチンの奥へ向かう。

ちょうどその時、選手のナイスプレイにテレビの中で拍手が起こる。

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(ナイスプレイ!!)

心の中でガッツした。

何かおかしい

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テレビの中の拍手が大きくなる。

拍手の音が徐々に、徐々に大きくなっている。

(え?)

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なぜかテレビ画面の右下にボリューム表示がでていた。

拍手の音が大きくなるにつれ、ボリューム表示も音量を上げていることを示している。

ここまで数秒の出来事。

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なぜか勝手に大きくなった音がうるさく、不思議に思いながらもリモコンを取ろうとテーブルに目を向ける。

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「うわっ!!!」

知らないおじさんがいた。

私の斜め後ろにいる。

正座をしてじっとテレビを見ている。

リモコンはおじさん目の前にある。

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友人「どうしたの?」

コーラと瓶に入ったプリンを持って、キッチンから戻ってきた友人が私に問いかけた。

友人「このプリンおいしいんだぜ」

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今プリンのことはどうでもよかった。

私「このおじさん…だれ?」

友人「え?」

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もう一度振り返る。

(あれ!?え…??)

おじさんがいない。

その時テレビの音量ももとの音量に戻っていることに気が付いた。

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友人「なんだよー、どうしたの?おじさんってなに?」

私「いや!ここにいたんだよ!知らないおじさんが!

テレビの音が急に大きくなって、リモコンみたらおじさんがいて!

友人「ええ?はい、コーラ!プリンも食べちゃおうよ、ここの有名らしいよ」

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ほんとにいたんだ、おじさんが。

正座してじっとテレビを見ていた。

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それが初めて見えたときの話。

それからはそういう体質になってしまったのか、いろいろ苦労している。

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