心霊体験の話・山口県のダム

中編4
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心霊体験の話・山口県のダム

これは私の知り合い霊子(仮名)から聞いた話です。

昔から霊が見えるという霊子です。

本当かどうかは私にはわかりません。

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若いとき、山口県のダムの心霊スポットに行った時だ。

遠いがお金が無いので高速は使わず下道で行った。

手前の軽い峠道で、カーブミラーが割れてる、ここは首つりの現場だという噂になっている。

アスファルトだが狭い道を奥まで行き、昼前に着いた。

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砂利の駐車場に公衆トイレがあった。そこにバイクを止めた。

木の柵の境目からダムへ獣道が続いていた。

自殺が多い場所で、ダムを造った後、退去命令を出さずに放水したため、死人が出た事故があったという。

自殺の名所らしく、看板には「命は大事に、だれかに相談する勇気」と書かれていた。

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ダムへの獣道を進んでいくと、50代位の夫婦が土手の斜面に陣取り、釣りをしていた。

「肝試し?」って聞かれた。

「夜はほんとに怖いから昼に来たのは正解だよ。」と言われた。

「どんなことがおこるの?」と聞くと、

「こどもを抱っこしたおじいちゃんが現れる。防空頭巾の女の子ふたりだよ。」と言われた。

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すると先輩がいきなり泣き出した。いきなり悲しくなって涙が止まらないという。

異様な様子に「近くのお寺に行った方がいい。」と教えてもらった。

私は運転を変わって、お寺に向かった。

お寺では出てきた修行僧のような男性が対応してくれた。除霊の先生のようだ。

先ほどの夫婦の奥さんが電話してくれてたそうだ。

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背中をたたかれながら説教を受けた後、この子には霊が何体か入っているから時間かかるよ、と言われた。

お堂の中で除霊をすることになった。

昼頃着いたとき、私には、人には見えない、黒い球が飛び交っているのが見えていた。

私が黒い球を手で払いのけたのを見て、友達は虫を追い払っているのかと思ったと言っていた。

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先輩が泣き出す前に 私には悲しいという声が聞こえ、左から右へ通り抜けていった。そしてすぐに泣きだした。

お堂の外で待っている私たちに、先生のお弟子さんがお茶を持ってきてくれた。

様子を聞くと今は1体目と話をしている最中だそうだ。扉がばたばた鳴った。

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先生が出てきて、「あんた来て」と私を指して言ってきたので、お堂の中に入った。

お堂の中がもやもやしていた。時空がゆがんでいるようで、段をうまく上がれない。

中から水の音が聞こえる、「どっぽん」という深い音。

先輩の後ろに座ると、先輩が「助けて」というけど、相変わらず水の音がする。

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先輩の声ではない低い声が、私の名前を呼ぶ。

先輩の後ろに正座しているが、水の音がずっとしている。

先輩が「寒い、ほんと後ろにおる?」と言った。

「じゃあ、横にいるのはだれ?」

「左横に座り込んでこっちを見ている人がいる。」

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私は先輩を抜け出た人だと思った。

すると「ふう」っと風が吹いたような感じがした。「ごっぽん」とそれまでと違う水の音がして、その場所のもやが消えて、そこだけはっきり見えた。

「いたたた いたたた」と声がして、6-7歳の防空頭巾をした女の子二人が髪の毛を引っ張っている。

その子たちがこっちを見た。

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先生が「あなたたちのいるべき場所に戻れ。」と言うと「いやだー」というダミ声がした。

先輩が「いい加減にしてー」と大きな声で叫ぶと「バタン」と音がして断ち消えた。

その場所も靄が晴れきれいに見えるようになり畳が見えた。

でも、上の方は残ってる。他にも何体もいる、まだまだ居るよー と思った。

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その時、外から「バリバリ」と空ぶかしの音が聞こえた。

他の友達がやっていると思った。こんな時にと思った。

だが気分はふっと楽になり、横座りになった。

先生は「結界を張るからすぐに帰りなさい。」と言われた。

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私は外に出て、友達に「エンジン吹かした?」と聞いたが、「何もしてない。」と言われた。

吹かした音は先輩も聞こえてたが、外の友達には聞こえていなかった。

家に帰った後も、水のしたたる音が続いていた。

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そこでお寺に電話した。すると「全部をとれたわけじゃない。悪い3体はここにいる。そこには弱い霊しか残っていない。

でも弱い水難があるかもしれないから気を付けるように」と言われた。

数日後、バイト先のイオンで救急車が来た。

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別の店でバイトをしていた友人が、いけすが割れて破片で手首をざっくり切っていた。

10数針縫った。決して弱い水難ではないと思った。

その後も水の音が強くなって、先輩が動けなくなった。

なので地元の別のお寺に連れて行った。

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すると「あららら、ダム行った?すごい量が付いてるよ。ここで取るね。」と言われ、

木の棒でたたかれた。ぼこぼこ叩かれる。

どうやら寝てるときにダムに沈んだ霊らしい。退去命令を出さずに放水した時のことなんだと思った。

他にも空襲で何人か死んでて、その子たちがまだ憑いてるらしい。

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「3日3晩、お焚き上げをするよ。」とのことで、先輩は帰れなかった。

4日目に来たが、先輩はげっそりやせていて、お焚き上げの間何も食べてないそうだ。

その後、水の音が聞こえなくなった。

地元のお寺の住職が、ちゃんと祓ってくれたんだと思った。

【おわり】

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