短編2
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牛と死神

Aは代々伝わる巫女家系の長男

理由は分からないが

男が生まれるコトは珍しいらしい

『ウチの家系で自分最強ですから』とAは笑う

Aは物心ついた頃から普通に『見える』生活をしてた

『霊がいない所なんか無いっスヨ。どこにでもいる』

『霊は霊同士、お互いが見えないんですよ。だから一部屋に10体くらいいる所もある』

霊は何してんの?

『同じ所にずっと居る奴もいるし、延々と話かけてる奴もいますヨ。

先輩もずっと話かけられてますよ(笑)』

何て言ってんの?

『聞きたくないです。話聞けるのが分かると付いてくるんで』

ヤバい霊ってどんなん?

『基本は色で分かります。大体は無色で白は神仏、黒は質が悪くて緑が一番ヤバいです。

動物だと牛が一番怖いっスネ』

牛??

『アレは話が分からないっていうか伝わらないんです(笑)』

『自分、牛に憑かれたコトあるんすヨ。しかも緑(笑)』

破ぁぁぁって出来ないの?

『そんなん出来る奴は漫画だけです(笑)』

Aが中学の頃

原因不明の体調不良が起こる。日に日に状態は悪化。

巫女家系総本山からオババ到着もどーにもならず

Aは動けなくなる

寝たきり三日目

身体右側が麻痺

死を覚悟した

和室

足元に誰かが立っている

スーツ姿

普通のサラリーマンに見える

コイツは人間じゃない

頭の中に声が響く

『…お前は人間か?』

恐怖した

『自分は人間です!』と何度も繰り返し唱えた

男は歪み

ゆっくり姿が変わる

顔が仁王像のようになる

Aの寝ている頭上に黒い煙の塊が現れ男に寄っていく

煙は男と同化し

男も消えた

『その煙の塊に緑のモノが混ざっててソレが牛の顔だったんですよ』

『自分に憑いてるモノや守護霊は見えないんです』

そのリーマンは誰?

『アレは死神です』

死神?

お前 死んでないじゃん?

『俺の番じゃなかったんでしょ(笑)』

ちなみに俺の守護霊は?

『犬です』

…犬?

『ハイ、中型の柴犬です』

なんか弱くない?(笑)

怖い話投稿:ホラーテラー 悪魔とダンスさん  

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