中編4
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電話越し

私も彼女も全く霊感も無ければそういう存在を一切信じていなかった。

ただある日を境にそういう存在を否定出来なくなった。

ある日の深夜のこと

私は家でテレビを見て少しうたた寝をしていた。

するとその時、携帯電話が鳴りディスプレイを見ると彼女からだった。

私はこんな時間に珍しいなと思いつつ「おつかれ!こんな時間にどうした?」と普通に電話に出ると、彼女は凄い取り乱しようで一体何を言っているかよく分からなかった。

彼女が言うには「今高速道路を走っていて、着物を着たおじいさんが現れて何回も現れてしかも同じ数字が何回も繰り返されてその度におじいさんが路肩に出てくる!」

私は意味が分からなかったが彼女の取り乱しようから尋常ではないことだけは分かった。

私「とりあえず落ち着け!それとパーキングエリアに入れ!携帯で話しながら運転は危ないし」と言ったが、彼女は「パーキングエリアが来ない!何回も同じ場所を走っている!」

私は更に混乱したが少しでも現状を把握したかったのでそのまま電話を切らずに彼女の話しを聞き続けた。

彼女も私の声を聞いて落ち着いたのか少し気を取り戻し説明し始めた。

ただ、時折「また!」とか「きゃっ!」と叫んでいたが・・・

彼女はその日隣の県に住んでいる友達に会いに出かけていたのだが、帰りが遅くなり高速道路に乗って帰っている最中に急に車内の空気が重くなり、気持ち悪くなったので窓を開けると外から生温い風が入ってきて気持ち悪い感じがしたそうだ。その時、路肩から着物を着た老紳士が現れたそうだ。そしてそこからおかしなことに高速道路に設置されている標識に記載されている番号(インターチェンジ番号)がずっと進んでいるにも関わらず何度も同じ番号を通り過ぎる。そしてその度に同じように着物を着た老人が姿を現すというのだ。

何せ走っている高速道路は田舎の山の中を通っており、街頭も少なく車のライトくらいしか明かりは頼りが無い。また近くに町や村など住宅街もないような場所なのでそんな所に老人が現れるなんてことは考えられない。

私は電話越しに泣きすがる彼女の声を聞くのが辛くて何とか助けてあげたいと思い、色々考えた末に彼女に言った。

私「とりあえず老人が現れない内に路肩に車を寄せて止めろ。」

彼女「いや!そんなの怖いよ!」

私「いいから止めろ!」

私はそれが良い案なのかどうか分からなかったがどうして良いか分からないまま彼女にそう伝えた。

彼女は渋々「分かった。今止めるから電話切らないでね。」

私「分かった。」としか答えられなかった。

彼女「今、車を路肩に止めた。」

私「一応ハザード付けといて。」

私は続けて「とりあえずこのまま待ってみて、そしてもし後続車が来たらそのまま続けて発進して付いていってみよ」

彼女「分かった。」

そう答えてからお互い黙り込んでしまった。

と、その時

電話越しから「オォォオ・・オッ・・・・オオオォ・・・・」とかすれた老人の苦しそうな声が微かに聞こえた。

私はつい「えっ!今の声何!?」と言うと彼女は「え!?何!何よ!?」と泣き叫び始めました。私は『しまった!今は現場にいる彼女の方が恐怖でいっぱいなはず・・・』

私は慌てて「ごめん!気のせいやった。」

彼女は「こんな時にそんな怖がらせるようなこと言わないでよ!」と怒っていた。

しかし、その間にも私の携帯からは相変わらず「オォォオ・・・」と苦しそうな声は聞こえ続けている。

私は彼女には聞こえない振りをし、彼女に声を掛け続けた。

しかし更に私に異変が起こり始めた。私は強い眩暈を引き起こし、何故か両膝がズキズキと痛み出し、痛さで顔が歪む程だった。しかし彼女には悟られないようにいた。

それからすぐ彼女が「着た!後ろから車が来た!」

私「よし!そしたら気を付けてそのままその車に付いていけ!」

私は相変わらず痛みがおさまらない。

彼女はそれからその車に続きだいぶ走ったようで「大丈夫!おじいさんも出てこないし、標識の番号も変わっていく!」

それを聞いたと同時に私は眩暈や痛みもおさまり変なうめき声も聞こえなくなっていた。

そして、無事に彼女は自宅に帰れました。

後日、彼女と会って二人であれは一体何だったのか話していた。

そして、もう今なら話しても良いだろうとそのうめき声と私の眩暈、両膝の痛みを彼女に伝えた。

それから特に何もおかしなことは起こっていないが、幽霊やら心霊やら色んな呼び方があるのだろうが世の中には理解出来ない不思議なことがあるのだと思った。

特におちも無いですがここまでお読みいただきありがとうございました。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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