短編2
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座る少年

去年の忘年会の帰り道。

最終電車で、駅に着いたのは、12時を回っていた。

駅から自分の家までは、2キロほどある。

バスはもう無く、タクシーも考えたが、酔いざましに歩くことにした。

千鳥足で家路に着いたのだが、足が思うように動かない。かなり酔ってしまったらしい…

(やっぱりタクシーにすれば良かった…)

まだ半分も来てないのに、頭の中は後悔ばかりだった。

夜でも車通りの多い交差点を過ぎ、家まで続く長い坂を上って行こうとしたその時、歩道の縁石に座っている男の子を見つけた。

小学一年か二年生くらいだろうか?

下を向いて座っているのだった。

こんな夜中に、男の子が一人でいるのに違和感を覚えて、何気なく男の子に問いかけた。

「こんな時間に、どうしたんだい?」

男の子は、ゆっくり僕の方を見上げた。

どうやら泣いていたようだ。

寂しそうな顔を、手で拭いながら、男の子は答えた。

「父さんと母さんを待ってる…」

両親を待ってるのか…カギでも無くしてしまったのだろうか。

しかし、こんな寒空の中、長い時間いたら風邪をひいてしまうだろう。

「両親は、いつ帰ってくるのか分かるかい?」

男の子に尋ねたが、分からないようで、首を横にふった。

困った事になった…

男の子をこのまま放っておけない。

どうしたものかと考え込んでいると、男の子が急に立ち上がった。

「来た!父さんだ!」

向こうからくるヘッドライトを指さして、男の子は言った。

(良かった、これで大丈夫だ。)

車の中から、父親らしき男が降りてきて、子供を抱き上げた。

「ごめんなトシカズ、母さんは来れないけど父さんと行こう。」

男はそう言うと、子供を自分の車に乗せた。そして、僕に言った。

「どうもすみませんでした。遅くなってしまって…

あなたも乗って行きますか?」

僕は、すぐ近くだからと断った。

男の子は車から手をふりながら去って行った。

気が付くと、僕は病院のベッドに寝ていた…忘年会の帰り道に、転倒して頭をぶつけ、3日間、昏睡状態だったらしい…

そして、あの夜の同じ時間に交差点で事故があり、幼い子供と父親が亡くなったそうだ。奇跡的に母親だけは、一命をとりとめたらしい…

車に一緒に乗って行ったら…

どうなっていたかは分かりません…

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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