短編2
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双子

これは友人が体験したお話です。

峠を車で走るのが大好きな友人は、深夜でも1人で走りに行ってしまいます。

その日の深夜も、ある峠を上って下り始めた時です。

1人のおばあさんが、乳母車を押しながら下のほうから上がって来るのとすれ違いました。

友人はこんな深夜に、ましてや民家なんて数キロ下らないとないのにおかしいと思いながらも、あまり気にせずそのまま下りましたが、そのおばあさんが押していた乳母車が妙に古い昔タイプだったのと、ライトに照らされた顔がはっきり見えなかったのが気になっていたそうです。

しばらく走っていると、尿意をもよおしどこかに止めてオシッコをしようと、少し広い路肩を探し車を止めました。

周りは真っ暗の林が生い茂り、車のライトがなければ何も見えない場所で、虫の声もなく妙に静まり返っていたそうです。

友人が用を足し始め少しすると、どこからかキーキーという金属がこすれるような音が聞こえてきました。

友人は最初、自分の車のエンジントラブルかなぁと思ったそうですが、その音は真っ暗な林の中から聞こえてきてました。

友人は怖くなり慌てて車の中に戻ってドアを閉めた時です。

助手席側のドアの外を、さっさ上ですれ違ったおばあさんがまた乳母車を押しながら歩いているではありませんか!

友人は慌てて車を発進させてやっとの思いで数キロ先のコンビニにたどり着き、そこから自分に電話をしてきました。

夜中の2時を回っていましたが、あまりにもしつこい電話なのででました。

すると友人が峠で同じばあさんが2人いたとか、上と下に同じばあさんがいたとか訳のわからないことを言って、最後には一緒にまた見に行ってくれとか言い出しましたが、私は眠かったせいもあり話を聞くのも面倒くさかったので「それは、ばあさんが双子だから同じばあさんが2人いたんだよ!」って言ったら、「そうだったのかぁ、双子だから同じばあさんなのかぁ」と納得して電話を切りました。

しかし、今考えると民家も何もない深夜の峠にばあさんがいるはずなんてないですよねぇ?

でもその友達は、今でも双子のばあさんだと信じています。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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