短編2
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赤い傘

ある日の夕方、友人が自分のアパートに遊びに来たので2人でDVDを見ていると、駐車場のほうから何やら嫌な音が聞こえてきました。

友人と2人で窓から見ると、友人の車に出刃包丁を持った女が切りつけているところでした。

それも全く面識のない女です。

私達は慌てて玄関にあった傘を持って2人でその女を追い払いに行きました。

が、今度は私達を見るなり奇声を発し、出刃包丁を振りかざしながら向かってきました。

殺されると思った私達は、2人とも違う方向に逃げましたが、女は私を追いかけてきます。

訳もわからずひたすら逃げ続けていたその時、「傘を捨てなさい!」という声が聞こえました。

私は慌てて傘を放して必死に逃げながら振り向くと、なんと今度はその放り投げた傘をメッタ刺しにしています。

私は立ち止まり、その光景を見ていると1人の男性がその女に近づき、「もう死んだから大丈夫だよ」と言うとおとなしくなりました。

その男性は女の父親らしく、平謝りしながらこんな事態になった事情を話してくれました。

それはその女性が数年前、赤いシャツを着た男に乱暴され、それがきっかけでおかしくなってしまい、赤いものを見ると半狂乱になり精神病院に通うようになってしまったそうです。

ちなみに友人の車は赤で、私は赤い傘を持っていました…

私達は事情を理解し、車は買い換えてくれるという約束で、警察には通報しないということで話がつきました。

それからというもの、私達は赤い物を全く身につけなくなりました。

もし、あの時赤い服を着ていて逃げきれず転んでいたら…

もし、赤いランドセルの小学生が近くにいたら…

考えると恐ろしいです。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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