短編2
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ドライブ

ある一組のカップルが夜中にドライブに行った時の話。

彼氏が車を運転し、彼女は助手席に座っていた。

しばらく走り、目的の夜景を見終えた二人は帰路につくことにした。

そして行きとは別ルートで人通りの少ない山道に差し掛かった頃、霧がでてきて視界を遮った。

彼氏は安全第一のために少しスピードダウンし、ハンドルにくっつくように体を乗り出して目を凝らし前方をよく確認しながら運転していた。

すると彼女が、作ってきたおにぎりを差し出してくれた。

彼氏「‥あ、今はいいや。後でもらうね。ごめん、ありがとう。」

彼女の手が目の端に見えるのだが、視界が悪い上あまり通らない山道のため前方から目を離す訳にもいかず、やんわりと断る。

無言で視界から彼女の手が消える。断ったため引っ込めたのだろう。

そして暫くすると、再びおにぎりが差し出される。

彼氏「‥‥‥。今は大丈夫だよ。危ないから先に食べてて。ごめん。」

再び断ると、二拍ほど置いてから彼女の手が引っ込む。彼女が食べる気配はない。

そして三度差し出された手。その手にはやはりおにぎりが掴まれている。

彼氏「‥今はいいって!先食ってろよ!」

今回はきつめに断った。

視界の悪い場所での緊張した運転は彼氏に疲労感を与え、その疲労は彼氏をイライラさせていたのだ。

案の定、その手は引っ込む。

そしてまた手が‥。

いい加減頭にきた彼氏は前を向いたまま彼女に怒鳴った。

彼氏「お前いい加減にしろよ!危ないっつってんだろ!何回言えばわかんだよ!」

そう捲し立てると、少しの沈黙のあと隣から彼女の声がした。

彼女「‥え、なにどうしたの?誰に怒鳴ってるの‥?なんかあった?」

困惑気味の彼女。

彼氏「あぁ?お前がしつこいからだろ?!いらねーっつってんのに何回も飯出してくるから‥!」

彼女「‥‥何言ってんの。あたし今まで寝てたんだけど。○○(←彼氏の名前)の怒鳴り声で起きたし。第一おにぎりなら行きで全部食べちゃったじゃない。」

思い返してみれば確かにそうだった。

夜景を見終えたあと車に乗り込んで暫くすると彼女は疲れていたらしく寝息を立てていた。

更に、四個作ってきたおにぎりは行きの車内で一人二個ずつ食べていたのだ。

じゃあ、あの手とおにぎりは一体なんだったのだろうか。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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