中編3
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微熱幽霊

現在、私はベッドの中で療養中である。

というのも、今流行りのインフルエンザなるものにかかったからなのだが、この病気には潜伏期間があるらしい。潜伏期間は約3日。この期間に奇妙なことが起こった。

私は学生で、平日は学校にいる。(サボり気味なのは秘密)

学校にいるからには当然授業を受けている訳なのだが、その事件は休み時間に起こった。その日、私はいつものように授業中にお昼(11時位)寝していたわけだが、授業が終わり、立って挨拶をした後すぐに椅子に座り直しお昼寝の続きをしていた。どうでも良いことだが、私の席は教卓の列の前から3番目。限りなく教室の真ん中に近い。

よくこんな所で毎時間のように寝られるものだと我ながら感心する。

それで、休み時間なので堂々と寝ていた所、頭の隅から声が聞こえてきた。友人がふざけて出しているような、上擦った声だ。

そんな声で何か言っていた。言っていた、というより歌っていた。といった方が正しいかもしれない。

その内容がまた謎で、

「つかチャン つかチャン つか にゃんにゃん♪」

というものだった。

余りに驚いたので、机からガバッと起き上がり、辺りを見回したが、周りでは日常的な光景が広がっているだけで、特に変わったことは何もなかった。

今年、クラス替えで一人、貧乏クジを引いてしまい、このクラスに仲の良い友人は全くと言って良いほどいなかったので、私に話しかけて来る人なんてまずいない。

だがこの名前に身に覚えがない訳ではない。つかチャンとは、私が文通をしている3歳位年上のひとの名前だ。

しかも、恋心を寄せている人の。

この事を友人に言ったところ、鼻で笑われた。

幻聴ではないのか。とのことだ。だが、その事件があった直後から寒気が止まらず、3日後、めでたくA型インフルエンザという宣告を受けた。

やはり、というのが率直な感想であった。

寒気といい腰痛といい頭痛といい喉の痛みといい、そうではないかとは思っていたので驚きはしなかった。だが、驚いた事が一つ…。

病院に行く前日の夜、38、6℃、という高熱が出た。時々熱を計り、体温計を枕元に置き、うんうん唸っていたのだが、置いておいた体温計からいきなり、ピピピピッという音が鳴った。

ほとんどの体温計がそうだろうと思うが、脇に挟み、しばらくしたら鳴るあの音だ。

それが突如鳴ったのだ。脇に挟みもしないのに。第一、使い終わった後、後ろの方に付いているボタんを押して液晶の表示は消したはずだし、万が一消し忘れて、計ることが出来たとしてもエラーなはずだ。なぜならその体温計は何も無いところ、いわゆる空間を計ったことになる。

しかし、液晶には37、4℃という温度が表示されていた。

因みにこの前に計った時の私の体温は38、5℃。前回計った履歴が表示される場合この温度が表示されるはずだ。

ひどい頭痛と腰痛にくるしみながら、これが心霊現象なのかとか思ったが、「37、4℃は高すぎやしないか」などと考えている内にバカらしくなり、そのまま眠りについた。

…とまあ3、4日前にこんな事があった。

もし本当に37℃の霊が存在したとしたら、そばにいたらうっすら温かいのだろう。

怖い話投稿:ホラーテラー 紅ロ守さん  

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