短編2
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白い服の女Ⅰ

先日、娘達が奇妙なことを言い出した。家にいる筈のない人がいるという。

すぐに強盗か、不審者かと総毛立ったが

聞けば幽霊だという。バカバカしい。

私は安心するなり、それでも気になって、戸締まりを確認するよう言いつけた。

それがいかにも不服らしく、2人は抗議するように執拗に食い下がる。

いよいよ覚悟して話を聞いてやると、それは意外な話だった。

はじめに目撃したのは妹。

私の部屋でお姉ちゃんと一緒にアルバムを見ていると、ふと背後の視線に気がついて怖くなったんだって。

そういう時あるわよね。髪の毛を洗ってる時とか、大抵は気のせいね。

でも「ねえ、後ろに誰もいないよね?」と顔をあげると、お姉ちゃんの肩越しに

髪のながい女の人が見えたというから驚きね。汚れた白い服でうつむいた顔には目がなくて。穴だけの目だったとか。

きっと、抜けた目玉は背後で熱い眼差しを向けていたことでしょうね。

これだけなら妹のオカルト染みた妄想で済むんでしょうけど、始末の悪い事にお姉ちゃんまで同じ幽霊を目撃してしまうのよ。

様子のおかしい妹に連れられてリビングまで来ると、突然ありそうもない事をいうでしょ。それも、自分の背後に幽霊がいた、なんて話。ビックリするより先に頭にきたのね。そういう子なのよ。

自分は気配なんてまるで感じなかったし、なんだか騙されてるように思えたのか知らないけどとにかく確かめてやると意気込んでひとり部屋に戻ったの。勇敢だわ。

するとやっぱり誰もいない。念入りに見回っても気配すらない。やれやれと息をついたとき、背の低い鏡面台に写った4本の足が見えた。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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