短編2
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古いフランス人形

これは私が幼い頃の体験です。

幼少時代は家族で団地の小さい部屋に住み

父と母は共働きだった為、

もちろん休日に一人で留守番ということも多く、

一人で部屋で遊ぶことが当たり前になっていました。

ある日、物心がつく前から家にあったフランス人形で遊んでみようと思い

手を伸ばしたときです。

幼いながらに「あれ?これ怖い。」という不思議な感覚が襲い掛かってきました。

手を触れたとたん。フランス人形の目に吸い寄せられたのを覚えています。

それから私はいつもフランス人形を意識していました。

もちろん親にもどこかに持っていくように頼んだのですが

両親はその人形を気に入っていたらしく、もちろん私の頼みは受け入れてもらえず

日が過ぎていきました。

その日から、不思議と以前より一人で家に居る機会が増えたというのを覚えています。

ある日、フランス人形の手の角度が違いました。

間違いありません。警戒して毎日見ていたフランス人形に違和感を感じたのです。

また、ある日はかぶっていた帽子の角度が違います。

また、ある日は渡し一人が部屋に居る間中ずっと微妙に揺れています。

そんな日々が続き、保育園を卒園して、いよいよ引っ越そうという話が

家族から出ました。

荷物の整理のときにでも親に片付けるか、田舎に持っていってもらうよう頼もうと

色々考えていました。

とうとう引越し2日前。

3月に引越しだったので夜は涼しく、快適に家族で寝ていると

やけに蒸し暑さを感じ、夜中に起きてしまいました。

凄い汗の中、なぜか私がとっさに目を向けたのはそのフランス人形。

人形と目が合った瞬間、私は鳥肌が立ちました。

棚の上に飾ってあったフランス人形が

大きく口を開けて笑いながら横を向いていたのです。

同時に細かく揺れています。

私は目が会う前に布団にもぐりこみました。

朝になり、本気で親に泣きつきながら

フランス人形をどこかに持っていくよう頼みました。

普段はおとなしいといわれていた私が

あまりに取り乱しながら頼んだせいか、

親は渋々フランス人形を

実家に持っていってくれました。

親がどのようないきさつであのフランス人形を手に入れたのかは知りませんが

今でも祖父母の田舎に帰るとそのフランス人形は置いてあります。

怖い話投稿:ホラーテラー イコピコさん  

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