短編2
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大切なもの

そして父が険しい顔をして帰ってきました。

父は私に本当に教えた場所におじいさんはいたのか、と問いかけました。私はそうだけど、なんで?と聞くと、父は怒りに震えるような声でそこに行ったがいなかったと言いました。

私は一瞬頭が真っ白になりました。

さらに父は続けます。教えた場所には段ボールハウスなどなかったし私が言うようなおじいさんもなく、ただ一つだけあったのは気味の悪い人形の目だけだったと。

私は混乱しました。おじいさんには昨日あっているし、首は今でもヒリヒリしているのに…どうして?

母は父の言った事が信じられないと言うふうに泣きながら喚き、私を抱きしめて可哀想に…と大声でしばらくわんわん泣き続けました。

私はなぜこれほどまでに母が泣くのか、父が怖い顔をしているのか、おじいさんはどこに行ってしまったのかで頭がごっちゃになっていました。

そしてなぜか学校に行かなきゃ、と急に思い出し、起き上がろうとしました。

すると父も母もが今日は休みなさい、家にいなさいというのでなぜかと聞くと父も母も無言になり、私は不安になり、部屋を飛び出しました。

母が悲鳴のように引き止める声が聞こえましたが私は、何を思ったのか洗面所に駆け込み扉に鍵をかけました。(うちの浴室のとこの洗面所には鍵がついている)

母が扉を叩きましたがわたしは一人になれたことにちょっと安心して、振り返りました。

すると洗面所の鏡に私が映りました。

髪は短くザンバラ髪になり、首に痣、頬から首にかけて大きなガーゼが貼られていました。私は驚いて座り込みました。

ちなみにあの頃の私は髪を長くしていました。私は恐る恐るもう一度鏡を見ました。そして思い切ってガーゼを取ってみました。

次の瞬間、私は絶句しました。

ガーゼの下には焼け爛れたような醜い肌が左頬から顎、そして首にかけて広がっていました。

まるで蜥蜴か何かのようになってしまった自分の顔に私はただ驚くことだけしかできませんでした。

その後やはりあのおじいさんは見つからず、父が警察に行ったとか行ってないとか。

私は両親のすすめで顔を整形し、ほとんど爛れたようなあとは分からないようにできました。

私も段ボールハウス跡に行ってみましたがやはりあの欠けた人形の目玉しかなく…。

それでもなんとなく今でもあの人形の目に惹かれもち続けています。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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