御先祖様だって陽にあたりたい

短編2
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御先祖様だって陽にあたりたい

以前の投稿にも書いたように、私は今は地元で外の仕事をしていて、今週で終わるが山の中で働いている。

帰りに農道を5~6頭の猪が封鎖してたり、フクロウ救出と毎日何かある。

今日は最高気温が17度。12月とは思えない陽気で、近くの家の猫も道路でひなたぼっこ。

近くに来ないかなぁ~…などと思いつつ、見通しの良い場所を求めて2メートルばかり移動した。

途端に、まるで冷蔵庫のようなヒヤ~っとした空気が。

あれ?何で?

振り返ると、そこは奥にある家の車庫と庭。

しかし、陽があたっているのに空気は異常に冷たく、車庫の周りには苔まで生えて湿気だらけ。

しかも、風もないのに「ゴーッ」と微かに音すらする。

試しに戻る。

ポカポカ…。

移動。

ヒヤ~…ゴーッ…。

やっぱり変だ。ここだけ、空気がおかしい。

さて、原因は…あれか!

すぐに解った。

私が立っている道路の右手。そこにはさんさんとと太陽の光を浴びる、綺麗な墓石が二つ。

そして、あの冷気漂う場所の正面は緩やかな傾斜の段々畑。

ずっと下がって川。

そして川の向こうの山手には、山間部でよく見かける傾斜面にある墓。

どう考えても、陽の光を浴びることの無い木陰になっている。

遠目にも分かる、ジトッとした湿気と陰気な空気。

墓石は古く、苔むしている物もある。

とにかく凄い負のオーラ。

手前にある墓石に向かって、

「羨ましい…妬ましい…」

という声が聞こえてきそうだった。

死んで暗い土の中。

陽はあたらないし、湿気だらけ。

こりゃ空気をおかしくして、訴えたくもなるよな…。

しかし、このまま放置してたら悪霊になりそうだ。

ここまでして、訴えてるんだから。

とは思いつつ、

「俺には何も出来んぞ!」

と言っておいた。

鳥男みたいに来られても困る。

でも、御先祖様達も陽にあたりたいんだろうな…そんなこと思った。

怖い話投稿:ホラーテラー 元業担さん  

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