中編3
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星の降る里 2

水龍神の承諾を得た俺は、龍神との交渉をするために、未だに天女伝説の残る星地に立つ。

農林水産省の外障担当者の松本は、私もよく知っている…頭でっかちで、融通のきかない男だった。

省は違うが仕事の面でよく対立したけど、善きにつけ悪しきにつけライバル?だったかもな?

奴ほど腕のたつ職員が行方不明に…もしくは、今も交渉中なのかな…?。

いずれにせよ安否が気になる…。

この地の神を我々は龍神系と識別しているが、龍が居るわけではない。

元々、龍神に仕えていた巫達が神格化した者達である。

一般的には龍神というより天女の方がメジャーなイメージだ。

あの優しく美しい天女達と交渉につくことになるとは、夢にも思っていなかった。

「羽衣ノ滝へ」

北の国の夜は寒い…、紀伊(那智)との温度差は20℃以上あるな…寒いのは苦手だ…。

仕事だとあきらめ、滝壺に飛び込むことに!

深いな…那智程ではないが…水温が低いせいか、なかなか滝壺までたどり着けない…

底の光の穴が見えてきた、もう少しだ。

光を潜ると、立派な神殿がそびえ立っていた!この大きさは?水龍神の神殿も立派だが、比べものにならない建物だ…この広大な大地が、全てに規格外の大きさを生むのかもな?

私は神の神殿に勝手に入ることは、礼儀上しないことにしている。

神が自ら招き入れてくれるまでひたすら神殿の前で待つことになる…。

カァァ‐カァァ‐カァァ‐カァァ‐カァァ‐カァァ‐

カァァ‐カァァ‐カァァ‐カァァ‐カァァ‐カァァ‐

カァァ‐カァァ‐カァァ‐カァァ‐カァァ

無数の鴉が群れをなして現れる

物凄い大群だな…遣いの者か?天女が様子でも伺いにきたか…?

カァァァァァァァァァァア

鴉達が飛襲してきた!

(無視だ…うぅ…痛っ…)鴉が俺に群がる…クチバシが身体に突き刺さる

俺を喰らい尽くすつもりか…。

五体がバラバラに、目までえぐり出し貪る鴉の群…

あっという間に骨と肉片になってしった…。

三人の天女が舞い降りる

「神武、噂に聞いた程の者ではなかったようですね」

「鴉に食い殺される程度とはね…」

「この神殿まで辿り着けた者にしては呆気ない結果でしたね」

「さぁ、鴉どもよ、キレイに食べ尽くしなさい!」

「お食べなさい」

「さぁ、お食べ…」

「三種の神器は?」

「ないね…?」

「どこかになかい?」

「俺の命ではなく、三種の神器が欲しかったのかな?」

「神武!生きていたか!」」

「食べられたはずでは?」

「神器はどこに隠してる!」」

「天女達よ、なんだその醜い形相は?優雅で美しかった巫はどこにいってしまったんだ!」

「さすが125代天王、鴉ごときには 食い殺すことはできなかったみたいね」

「おとなしく、神器を置いて帰りな…」

「今度こそ、殺すよ…」

鴉は神の使者(分身)とも言われ神聖な生き物だ。

龍神系の天女に鴉、少し甘やかしたか…?

天女達は私が黙って鴉のエサになると本気で思っていたのか?

「天女様達とは初対面でしたね、国土交通省 課長補佐 工事外障部門 主任分析官 七海 清と申します」

「残念ながら、本日は神器を持参しておりません。

神とはいえ、女性相手に武器(神器)は使いません。

悔い改め、農林水産省の松本を解放して下さい。」

「ふふふ…」

「七海 清が神武かい?」

「誰を解放するのだって?」

「国土交通省の責任者としてお聞きします。松本は無事なのですか?」

「ファハハハハハハ」

「無事かもね……」

「ファハハハハハハ」

ん…話が進まないな…

水龍神の絡みもあるし、交渉だけでなんとか解決したいが…

明かに敵意むきだしで…神器まで奪いたいようだし…。

ミシ…ミシ…ミシ

神殿の奥から何物かが歩いてきた…

誰だ?お前!松本!?

「松本!無事だったか!」

「七海久しぶりだな…」

え…様子がおかしい…

天女達と松本がニタニタと笑みを浮かべる…

まさか…松本のやつ…。

怖い話投稿:ホラーテラー JKさん  

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