中編3
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蛇の目

今回は、数少ない実体験を書いてみようと思います。

リアルな話しはあまり面白くないかもしれませんが、読んでもらえたら嬉しいです。

私が小学3年生の時の事です。

おばあちゃんの家に遊びに行った夜、遅くなったし その日は泊まっていこうという事になりました。

布団をひくのも面倒だし、おばあちゃんの家のこたつは広いので そのままそこで寝る事にしたんです。

長方形のこたつで、広い方の左側がおばあちゃん。

そこから時計回りに、母、父、私という順番で座っていました。

大人達はお酒を飲んで 話し込んでいて、つまらなくなった私は いつの間にか眠ってしまったようでした。

ふと目を覚ますと、部屋は豆電球だけで薄暗くなっていて、消し忘れたのか テレビだけがついていて

『なんか体が痛いな…』

と、普段こたつで寝る事がない私は一度目が覚めたら なかなか寝付けず、つけっぱなしのテレビを 横になったまま、ぼーっと見ていました。

すると、おばあちゃんがゴソゴソと起きだし、テレビをリモコンで消してしまったのです。

『あたしが見てたのに、気づかなかったんだな』

そう思った私は、もう少し見たい!と言おうとして 口をつぐみました。

黒くなったテレビの画面に映ったおばあちゃんが、変な行動をしていた事に気づいたから………。

おばあちゃんの両手が、なんか忙しく わきわきと動いていて、その速さが尋常じゃなく

『おばあちゃん、何してんの!?』

と 驚いた私が、画面に映ったおばあちゃんの顔を見て…息が止まりそうになりました。

目が…おばあちゃんの目じゃない……。

姿形はおばあちゃんなのに、目だけがまるで猫のように 黒目が縦に細いのです。

猫…と言うよりは、もっと冷たさを感じるような…爬虫類、その中でも蛇に近い感じがしました。

それを見た途端に、あまりの怖さに私の体は硬直し 目だけは おばあちゃんから離せずにいました。

動いたら見つかる……!

呼吸さえ 極端に少なくなったように感じました。

その蛇のような目は、キョロ………キョロ………と左右にゆっくりと動き出し、次第に早くなってきて キョロ……キョロ……キョロ…キョロ…キョロキョロ…キョロキョロキョロキョロキョロキョロ!!

と、絶対に人間には出来ない動きをし始めました。

頭は微動だにしていないのに、目玉だけが 凄い速さで動いている…!

その間も、両手はわきわきと動き続けていました。

恐怖で泣きそうになっていると、目の動きは少しずつゆっくりになっていき そのうちゴソゴソと、おばあちゃんは横になりました。

怖かったけれど、すぐに動くと またおばあちゃんが起き上がるような気がして、イビキが聞こえるまで待ってから 少しずつ動いて 父の所まで行き、朝になるまで父にしがみついてました。

翌日のおばあちゃんはいつも通り優しく、何も変わったところはありませんでした。

夢を見たんだと言われそうで、親にも言いませんでしたが……。

おばあちゃんが亡くなった今、今更聞く事も出来ず あれは何だったのかと、今だに思う 私なのです………。

怖い話投稿:ホラーテラー 桜雪さん  

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