短編2
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実の親だけに…

実話です。そして心霊系ではありません。

私の姉は入院施設のある病院の看護婦をしています。その姉に怖い話をねだった時の話です。

以下姉の話

「私が夜勤勤務をしてた時、その日はすごい嵐の日で雨、風の音がすごくてねぇ。でもナースコールもなくて比較的ゆっくり仕事ができる夜だったんだけど、AM12時過ぎだったかなぁ?病室の方から患者さんの家族の方が走ってくるのが見えたの。

ほんでそのままナースステーションを通り過ぎてエレベーターに乗ろうとしてたから、こんな時間にって不審に思って『どちらに行かれるんですか?』って声をかけたんよ。そしたら『うちに帰ります』って言うんだけど、外はすごい雷雨だし、なにより凄い顔色悪いし挙動不審だし、何かあったなって思ってさ。とりあえずナースステーションに呼んで『タクシーもなかなかこないと思うから待つ間はここでゆっくりして下さい』って言ったんよ。それで話を聞いたんだけど…。

その人(仮にAさんとします)はMさんという高齢で女性の患者さんの娘さんで、痴呆症を長く患っている母親の為に結婚もせず、ずっと介護をしてこられてるの。それはもう母親思いでMさんがとうとう重い腎臓病にかかってからは週に何度かは病室に泊まって面倒をみてたのね。でもMさんの腎臓病を治すには腎臓移植しかなくて、Mさん本人は認知症がひどいから手術の説明をするのは難しいし、Aさんは手術をしても高齢だからリスクは高いからこのまま何もせず自然に任せる事を望まれたのね。もちろんMさん本人は医者と娘がそんな話をしてる事も知らないし、自分が重い腎臓病にかかってる事も理解してないはずだったんだけど…。

あの日の夜、Mさんの隣でAさんはいつも通り簡易ベッドで眠ってたんだけど、ふと気配を感じて目が覚めたんだって。そしたら暗い病室の中、自分の頭の方に立ってる人がいたんだって。びっくりしたけど隣のベッドにMさんがいないから、すぐそれがMさんだってきがついたらしいの。真っ暗だからMさんの表情は分からなかったけど、MさんはAさんの顔の近くに自分の顔を寄せて、じっと見つめているようだったんだって。Aさんは母親がトイレに起きたんだと思って『トイレに行く?』って声かけたんだって。その時ちょうど稲光が部屋の中を一瞬照らして、Mさんの無表情な顔もはっきりみえたんだけど…、その後Mさんの小さいけどはっきりした声が聞こえて…………

『ねぇ…腎臓ちょうだい…』

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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