短編2
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我が社

はっきり言って怖くありません。ごめんなさい

6年前に父が亡くなった為に継いだ、不況の波にのまれ風前の灯な我社の話です。

今は従業員もいない、社会の底辺と言われた製造業社ですが、昔はそれでも景気良く、何人か雇っていた時代もありました。

その頃は俺も小学生で、あまり工場に立ち入らなかったのですが、その当時母に聞いた話です。

ある日、母はパートに友人を誘い、夜22時過ぎまで共に残業していました。向かい合った機械を母と友人二人で背中合わせの形でまわしていると、後ろを誰か通りました。

「あれ?」と思い振り返ると友人も「んっ?」といった感じで振り返ってたらしく、二人で「誰か通った?」と話をしていたところ、少し離れたところで残業していた社員さんが「そんなのよくありますよ。奥の方を誰か歩いてたりするし」と普通に言われたそうです。

それから十数年経って、俺が一人で残業していたある夏の深夜、昼間暑い中外にいるのが可哀相と工場に愛犬を連れてきて 奥の方に繋いでいました。

愛犬は何度も工場に来ていたので、機械の音でも動じません。その時も寝ていました。俺は機械をまわしながら、TVを見ていました。

入口から入ってすぐに作業中の機械があり、奥に進むとTV、さらに奥に愛犬という構図。

TVを見ていると突然愛犬が起き上がりました。「おい、どうした?」と言っても顔をちょっと向けるだけで入口を直視しています。

機械もおかしな音を出してる訳でもなく、誰か来た訳でもありません。

すっかりビビッたヘタレな俺は「オマエ、二度と連れて来ないからな」と言いながらTVに集中集中と心掛けました。

我が社は入口を入るとこに階段ぽく段があるのですが、時々ドアが閉まってるのに、階段の段数分「トントントン」と音がする時があり、親父も姉も聞いています。

6年前に親父が死んだ直後、母と俺はよく視界の片隅に何かが動く感じがして、「親父かな?四十九日まではその辺にいるって言うし」とか話をしていましたが、

ある日一人で残業をいた時、機械の前の木の台に乗って作業をしていたら、真横がズシッと沈む感覚ありました。

昔からよく作業中に親父が覗き込んでくる時があり、その時の感覚に似てましたから、「親父が見てるかな?」と思いつつ、ビビッて帰ろうか真剣に悩みました、ごめんなさい。

最近も視界の片隅の景色に違和感を感じる時がありますが、この手の場合、病気の可能性もあるんでしたっけ?

怖くない上に長文ごめんなさいです

怖い話投稿:ホラーテラー ぬっこりさん  

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