中編3
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十字架

よく恐い話に

案山子(カカシ)が、出てきます。

全国的に、案山子に纏わる話は多いと思いますが僕の地元では案山子は、田の神、畑の神と言われ昔からお供え物などを用意するよう風習がありました。

僕は、父親がお寺の住職で三男。

長男の兄貴が、跡取りなので特に修業したりとかはしてなかった。

次男も長男と同じように頭を丸めて、長男よりも熱心に仕事してました。

ま、僕は落ちこぼれみたいな感じです。

そんな風習、そんな僕が体験した話です。

僕の地元では

農家の方が田植えを始める前に案山子を作ると、必ずお寺に持ってきて豊作祈願をして

田に設置するのが通例でした。

そして、稲刈りなどの収穫が終わればお疲れ様でしたと案山子を燃やして豊作に感謝するといった流れです。

その祈願と、燃やす作業は全てお寺で農家の方と一緒にするのですが…

全体的に豊作の年…

ある農家だけ、案山子を祈願して設置したにもかかわらず不作に。

他の農家は、豊作だったらしいのですが…

そういう話は小さな田舎では、すぐ噂に。

祈願が足りなかった…

神に感謝してないから…

などなど

年寄り中心に色々な噂がたちましたが、核心を突くものは何もありませんでした。

その不作の農家の方が

案山子を持ってきたのは12月の初めでした。

不作だったとしても、感謝を込めて寺で燃やします。

燃やし、また新しい案山子を作った その農家は原因不明の4年連続の不作にみまわれました。

周囲は、差別のような扱いでしたし目で見られていました。

そんな農家の方が、ある日

車を運転中に旦那さん、奥さんの乗る軽トラが崖から転落。

下の沼に車ごと、沈んで

二人とも亡くなった…そういうことになりました。

崖から落ちた車は、汚い沼から引き上げが困難だった為

警察はダイバーを使い遺体の回収にむかったが

遺体が見つからなかったそうです。

車も、見つからなかったそうです。

そんな事件が起きてから、2ヶ月後

田植えの時期がやってきました。

当然、各農家の人達は

案山子を作り寺に祈願をしに来ました。

そして、設置しだした頃に各農家の案山子の首がなくなることが多かったそうです。

カラスか、子供の悪戯だと言われ続けていたが

エスカレートしてくると、死んだ農家の奴の怨念じゃないかと

囁かれるようになった。

そして、不作の年が続いた。

村が廃れ始めた頃に、観光開発の話が浮上。

例の沼を埋め立て、キャンプ場を作る話が浮上し それはすぐに現実となりました。

沼は、整地をする為に

凹凸をなくす作業をしていたそうです。

そんなときに、

崖から落ちた 見つからなかった軽トラが発見されたそうです。

やっと遺体の回収が出来ると、事件を担当した警察官は思ったでしょう。

が…車内から出てきたのは、大量の案山子の首達と、奥さんの頭だったそうです。

後に

首から下の奥さんの遺体は、見つかりましたが

旦那さんの遺体は、まだ見つかっていません。

奥さん遺体は、白骨寸前で見つかったそうです。その農家の田んぼで。

そして、右肩付近から左の骨盤へかけて3メートルほどの樫の木と、左の肩側から右あばらにも樫の木が刺さっていたそうです。

遺体は、案山子のように火葬を…

奥さんは、本当に崖から落ちたのか…

それとも…

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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