短編2
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湖の話 2

湖の話を投稿した坂道です。

コメを頂いた方々のおっしゃる通り、北海道の支笏湖です。

その湖でのエピソードをもう一つお話したいと思います。

中学の学校行事でキャンプ研修というのがあり、私も1年生の頃に行きました。

肝試しが毎年恒例で、街灯が一切ない暗闇の森を歩くだけの粗末な物ですが…怖いと評判でした。

私はテントの仲間と4人組で歩きました。

キャーキャー騒ぎながら暗闇を歩いて、なんとかゴールしてテントに戻りました。

休憩していると、突然Aが震え出し…

急な事に驚いた私達3人は毛布をAに被せて寝かせた。

Bが先生を呼びに行ってから、私はAの横で「大丈夫?具合悪いの?」

などと話しかけていた。

「ごめんなさい…」

「ごめんなさい…」

と、Aは呟いて私の手に何かを握らせた。

小さな白い…石みたいだった。

「どうしたの?この石?」

うなされてるだけで答えはなかった。

それから、先生達が来て色々と診たけど…

Aは段々とおかしな状態になり…急に訳の解らない言葉で何か話している。

それは、Aの声じゃなかった。

もっと年をとったお婆さんのような声で…その場にいた先生もゾッとした顔で、慌ただしくテントから出て行った。

救急車を呼ぶとかそんな話をしていた気がする。

Aは起き上がると今度は正座を崩した感じで背中はお婆さんみたいに曲げて座った。

そして、私に向かうと

「おめぇがそったら事しても…おらぁぬげだりしねんだぞ!」

「あずましくねぇから…ひっこめ!!」

って言われた。

物凄いなまりでお婆さんみたいで言葉を無くした。

実は、Aは関東の都会から転勤で転校してきたので…親戚も居ないし北海道が初めてなのだ。

それが、地元の私ですら使わない方言を使うAの中にいる誰かを恐ろしいと思った。

その時、祖母の形見で貰った水晶で出来たお守りをいつも持ち歩いていたので、握りしめながら祖母に助けを求めていた。

それから、先生達はAを車に乗せて病院へ向かった。

この事はテントにいた私達だけの秘密にし、Aは風邪で帰った事にした。

その後、学校に来たAはいつものAに戻っていたが、あの日の記憶がない…

私に渡した白い石の事も知らないと言っていた。

そのすぐ後、突然Aは転校してしまった…

何十年続いた、毎年恒例のキャンプ研修は私達の代で終わり、翌年から違う土地での宿泊研修に変わった。

以上で終わりです。

まだ違う話があるので、いつか投稿したいと思います。

怖い話投稿:ホラーテラー 坂道さん  

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