中編3
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昼寝

ある夕刻。私は2階にある自室のベッドで睡魔に心地良さを覚えていました。

意識がだんだん沈みいく中、1階のリビングから

「え?や‥!飛び降りた!」

という母の叫び声が聞こえました。

近所のマンションで飛び降り自殺でもあったのかと思いましたが、如何せん睡魔には勝てず、そのまま眠ってしまいました。

〜ここから夢の話です〜

ふと目を覚ますと、寝た時と同じ体制のままでした。

先程より空は暗くなり、部屋の色が灰色がかっていました。

リアルな状況だったので、普段夢の中で夢だと気付いたり、結構自由にできる私ですが、一切気付きませんでした。

“起きなきゃな”“夕飯の支度しなきゃ”と少しボーッとしていると、隣に誰かが寝ているのに気付きました。

女性が背を向けて寝ています。家族でもないし、恐怖を含んだ違和感に襲われました。

幽霊でも不法侵入者でも、とりあえず気にしてる素振りをしたくなかったため無視していると、女性は静かに笑い始め、体も僅かに動いています。

私の考えが解るのかと女性に目を向けると、女性の向こう側から何かが這い上がって来ます。

それは、古ぼけた日本人形でした。

カクカクしながら、次第に私の上に来ました。

体を動かす事ができなくなり、恐怖に必死に耐えていると、人形は胸の上に移動してきて、私の首を絞め始めました(手が小さいので、押すという表現の方が正しいかも)。

徐々に苦しくなっていく。

直視してはいけないと思っていたけど、見ちゃうんですよね。

目が合い、反らせません。無表情な白い顔。

隣の女性は尚も笑っています。

本当に意味が解らなくて、ただ苦しさと恐怖‥。

するとバッとドアが開き、母が入ってきました。

床に座りくつろいでる母を見て、娘のこの状況を何とも思わないのか!と思っていると、女性と人形は消えていきました。

慌てて起き上がり、母に先程の話をしていると、母が見慣れないジャージを着ているのに気付きました。所々に染みがついています。

どうしたのかと聞くと、

「さっき自殺あったやろ。お兄ちゃんが遺留品貰ってきた。」

と言うのです。

よく見てみると、黒い染みは夕暮れの暗さでぼかされていた、血でした。

咄嗟に私は「お母さんが勝手に亡くなった人の服着てるから、私が怖い思いしたやないか!」と泣いてました。

ここでハッと目覚め、夢の中で起きた時と同じ体制&暗さに、一瞬混乱しました。

隣に誰も居ないか数回確認しましたが、大丈夫なようです。

夢だと解り、ホッとしてリビングに下りて行きました。

夕飯の支度を始めていた母に

「さっき「飛び降りた」って叫ばんかった?」と聞くと

「あ〜。帰ってきて床に荷物置いたら、床で何かピョコピョコしてて、虫でも連れて来たかな〜思いよったら、この子がピチピチやりよって(笑)」

この子とは、我が家で飼っている小魚・はーちゃんです。

1匹だけ前からよく跳ねてたのですが、水槽に比べ水位も下げてたし、流石に飛び出したのは初めてです。

母は「お母さんが気付かんかったら踏まれて死んでたね」と英雄ぶってます。

でも何より私の瞬間的な1単語からの想像力というか妄想力というか‥酷い。

余談ですが、この日から水槽に蓋がつきました。

はーちゃんは尚も跳ね続けており、時々蓋に当たっちゃってます(涙)

そして更に時々、浄水器(?)横の3cm程の蓋の隙間で上手に跳ねてます。

怖い話投稿:ホラーテラー 小羽さん  

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