中編4
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殺された女

札〇市にあるラブホテルであった出来事です。

そこは山の麓にあるラブホテルでした。

宿泊平日2500円の激安料金だったので、何の迷いも無く泊まりました。

安いだけあって、ほぼ満室状態だったんですが

何故か一つだけ部屋が空いていました。

ログハウスタイプで、部屋は一つの建物として孤立しています。

深夜1時…車を停めて建物に入るとインターホンが鳴り、宿泊か休憩かを聞いてきました。

宿泊である旨を伝えると、老婆が先払いの料金を徴収しに玄関までやってきました。

老婆にお金を渡す時…

何故か僕の後ろをチラチラ見てきます。

(どんな彼女か見てるのか?)

そう思った僕は不愉快な顔をしながらドアを閉めました。

ようやく二人きりで落ち着き、彼女がお風呂の準備で浴室にお湯を張りに行きました。

「きゃあぁあぁ!」

浴室から彼女の悲鳴が聞こえ、僕は慌てて駆け付けました。

彼女が浴槽を指差しています。僕が中を見ると…

大量のワラジムシが蠢めいていました。

「なんだこれは!」

すぐインターホンで苦情の電話を入れようとしましたが、ホテルの従業員は出ませんでした。

直接、玄関から外に出て文句を言おうと思いましたが、ドアがロックされ開きません。

「自動ロックかよ」

仕方なく僕が浴槽のワラジムシをごみ箱に入れ、お湯とボディーソープで中を洗浄していました。

「…え?」

その時…

浴室にある鉄格子のついた小さな窓の外を

白い人影が通り過ぎた気がしました

「…気のせいだよな」

ようやく浴槽の掃除が終わり、彼女を呼びに行きました。

彼女はベッドに腰をかけ、僕に背を向けています。

「おーい準備できたよ」

…?

彼女が全く反応しません。

僕は彼女に近づき…

肩に手を置きました…

「おいどうした?」

彼女が振り向きました

「うわあああぁ!」

彼女「えっなに」

僕「……あ…れ?」

一瞬、彼女の顔が血まみれの別人に見えました。

僕「ご…ごめん。お風呂の準備できたから入れるよ」

二人でお風呂に入り、裸でベッドの中に潜り込みました。

彼女「…暗くしてね」

僕はいつもの様に部屋を暗くしました。

シーツの中に入って、彼女の身体に優しく触れていきました。

彼女「…ぁ」

…?

この時、おかしなモノを見てしまいました。

僕「あちこちに…アザが…」

僕「…これどうしたの?」

シーツから出て彼女に聞きました。

!!!

僕「ひっ!」

そこには頭から血を流して不気味に笑う

別の女がいました!!

女「お゛ま゛え゛が殺したんだあああぁ!!」

僕「ひぁあぁ!」

僕は恐怖で心臓が握り潰されました。

あまりのショックで悲鳴をあげるどころか、呼吸すらまともに出来ません。

僕は転がり落ちながらベッドから逃げ出し、後ずさりしました。

女が笑いながら近づいてきます。

女「あ゛ははばはばばは」

僕の後ろのテレビが突然つきました!

勝手にカラオケが作動し、昭和のデュエット曲が流れ出します!

スピーカーから気持ち悪い歌声が部屋中に響き渡ります!

女の左手には髪の毛を掴まれた彼女が引きずられていました。

それを見た僕は我を失い

女に殴りかかりました!

何発か女を殴っても

アハハアハハハハハハ!と笑っていました。

僕は力いっぱい女の首を絞めました。

…めて

…や…めて

彼女の声で正気に戻りました

僕は彼女の首を絞めていたんです。

彼女の顔は僕のこぶしで

腫れ上がり、所々切れて出血していました…

僕は我を取り戻し、すぐに彼女の首から手を離そうとしましたが

手の筋が硬直して中々外れませんでした。

僕はしばらく放心状態でした。

彼女が「大丈夫だよ…」と声をかけてくれた瞬間

僕は泣き叫びました。

今まで女性を殴ったことがない上に、大切な彼女を殺すところだったんです。

そのまま彼女と抱き合いながら、眠らずに朝を迎えました。

その間、建物の外を動き回る気配や窓を叩かれる恐怖と戦っていました。

夜が明けると同時に部屋から逃げ出しました。

すぐに彼女を病院に連れていき、その後にお寺にも行きました。

幸い彼女や僕に「女」は憑いてきていませんでした。

後日インターネットで調べると、あのホテルで殺人事件があったそうです。

被害者は主婦

加害者は住所不定の浮気相手

別れ話の縺れで、男は主婦を殴打した後…

首を絞めて殺害したそうです。

皆さんも料金が安いホテルに気をつけてください。

怖い話投稿:ホラーテラー 天気さん  

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