短編2
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パソコン室の怪

大学の頃に同じ学部だった友人T。

二年生の頃のある日、Tは遅れていたレポートを仕上げるためパソコン室で夜遅くまで残っていた。

気がつくと周りには誰もいなく、一人黙々と作業をしていたという。

キーボードのタイピング音が、静かなパソコン室で響いていた。

その大学の廊下などに設置されたライトは、自動に点灯・消灯がされるもの。

センサーがついており、人が通るとライトがしばらく点灯するという設備だ。

パソコン室に通じる一本の長い廊下は、その時しばらく誰も通っていなかったためライトが消えていた。

Tがしばらく作業をしていると、パッとライトが点灯するのが見えた。

(誰か来たのか?)

しかし廊下はシーンと静まり、人の気配はなかった。

パッ

パッ

パッ

いくつかに区切られた廊下のライトが、こちらに向かって順番に点灯されていく。

奇妙に思ったTだが、レポートを提出できなければ単位が取れない。

なんとかレポートを仕上げるため作業に集中した。

やがて、そろそろレポートが完成するか…と思っていた時だった。

ポンポン…と肩がやんわりと叩かれた。

無論、後ろに人の気配は一切ない。

さすがにゾクゾクっと背中に寒気を感じた。

しかし、Tは作業する手を休めない。

頬をスウッと氷のように冷たい手と長く伸びた爪が撫でた。

思わずキーボードから手を離したが、また作業に戻る。

やっとレポートが完成したTは、ホッとして両手を上に伸ばした。

そしてパソコンの画面に目を戻すと、そこには赤字で奇妙な記号がズラリとならんでいた。

さっきまで必死で書いていたはずのレポートはどこにも見当たらない。

「うわおおぎゃーーっ!!」

ついにTは怒号とも悲鳴ともつかないような叫びを上げ、そのままパソコン室を飛び出したのだった。

結局レポートは間に合わず、単位を落としてしまったという。

怖い話投稿:ホラーテラー geniusさん  

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