パチ屋のお米(こめ)さん

中編5
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パチ屋のお米(こめ)さん

連続投稿になります。

正直、私は霊というものを信じ切れていません。

・・・というのも、信じちゃうと怖いんですよね。

今まで見てきたものが何なのか、という説明が出来ないので、

「不思議なものが見えちゃってる」というのは理解できるんですが、

それが【霊】だと思っちゃうと怖くて夜道を歩けなくなっちゃうんですよ。

ですからあくまでも「不思議な体験」として読んでいただけると嬉しいです。

では、ここ数年続いている不思議体験です。

私は妹に誘われてパチンコを打つようになりました。

始めた当初は勝ったり負けたり、トントン勝負の日々。

妹や友達など、パチンコやスロットに慣れた人が一緒に居ないと不安で不安で・・・、一人打ちも出来ない状態でした。

そんな私も日数を重ねるごとに一人でも平気になり、挙句の果てには開店前から一人で並べるくらいに度胸が座ってました。

パチンコ屋さんっていろんなものが居るんですよねぇ~。

落ち着いて周りの風景を見られるようになって、初めて気がつきました。

私が見えている不思議なものは、

体が半透明で向こうの景色が透けて見える人、

シッカリ実体があるように見えるため、普通に話しかけそうになる人、

体の一部分・・・など様々です。

私の行きつけのパチンコ屋には、

いつも怒っている赤いパーカーを着たおばさん(半透明)、

待合のソファに座ってうなだれてる若者(実体)、

そしてお米さん(実体)がいました。

おばさんは通路を練り歩き、腕を胸の前で組みブツブツ文句を言っています。

人とぶつかりそうになるとスッと消えるのです。

若者はこちらまで溜息が聞こえそうなくらい落ち込んだ感じです。

近くの台から大当たりの音楽が流れると顔を上げます。

そして、私に影響を及ぼすことになるお米さん。

この人は見た目50代後半くらい。薄い髪の毛と貧相な体格。

向かって左側の顔半分が頬の下までありません。

本人にとっては右半分の顔が無いといった状態です。

その姿が米粒のようだったので、不謹慎ながらお米さんと呼んでいます。

このお米さん。

よほどパチンコが好きなようなんです。

台を覗き込むように歩き回っています。

気になる台があると椅子の背もたれに両手を置き、ずっと立っています。

あるとき気がついたのですが、お米さんのいる台は必ず低投資で当たりを引き、連チャンするんです。

しかもその連チャンが結構続き、ドル箱(出玉を入れるプラスチックのケース)の山を積み上げるんです。

毎日いるわけではありません。

当時夜勤仕事をしていた私は、ほぼ毎日開店~夕方まで打っていたのですが、お米さんを見かけたのは週に3日、4日といった感じです。

いると気になり目で追ってしまう私。

お米さんも気がつくようになりました。

それからというもの、私を見つけては椅子の背もたれに両手を置きながら、軽く飛び跳ねて呼ばれます。

声を出しているわけではないんですが、期待満々のキラキラした目で私を見るのです。

どうも大当たりしている画面を見るのが好きみたいなんですね。

私が打つとやはり低投資で当たりを引きます。

少なくても10箱、多いときで48箱積みました。

48箱はさすがに過去最高なんですが・・・。

画面がリーチになるとおじさんが覗き込んできます。

なんせ半透明でもなく実体ですから、私にはリーチ画面が見えないんです。

しかも私にピッタリついているわけでもなく、他に気になる台があると移動して椅子に座ったりもしていました。

他の人には見えていないので、おじさんの膝の上に誰かが座ってしまうこともあります。

でもやはりその台も爆発するんです。

この話を妹にしてみました。

案の定、パチンコ好きの妹は目を爛々とさせて飛びついてきました。

後日、OLをしている妹と予定をあわせ、一緒に打つことにした日、やはりおじさんは現れたのです。

おじさんはとある台の前にいました。

その台を妹に譲りました。

私はその左隣の台に着席。

開店と同時に打ち出しましたが、昔のアニメが元となっているその台を妹は気に入らなかったようです。

「飽きたぁ~、ツマンナイ」と言い出す始末。

私のお米さん話を信じきっていないのでしょう。

「もうヤダ」と3000円ほど打ったところでやめようとしています。

「じゃあ私打つよ」と交代。

妹は別の台を打ちに移動してしまいました。

私が打ち出すとおじさんはまた覗き込んでいます。

1000円分の玉が無くなる頃リーチがかかり、そのまま大当たり。

昼の12時過ぎに「ご飯にいこうよ~」と妹が誘いに来るまで出続けていました。

妹は大ショックを受けたようです。

「あのまま打っておけば良かった・・・」と後悔。

その時おじさんが私の右隣で飛び跳ね始めました。

「あっ、もしかして・・・」

妹にその事を告げ、ご飯は後回しで、とりあえず打つようにと、その席に座らせました。

「爆発してる台の横が出るわけ無いじゃん」

そう下唇を突き出して文句を言っていた妹ですが、程なくしてノーマルリーチでピタッと当たり、箱を積み上げていました。

そのままご飯を食べることなく夕方まで遊戯。

おじさんもニコニコ顔で覗き込んでいました。

妹は不思議な空気を感じるだけの人、しかも静かなところでしか分からない・・・といっていますので、パチンコ屋でおじさんの気配は感じなかったそうです。

この件から、私の話を信じてくれるようになりました。

家に帰り、妹と一緒に今まで体験した事を母親に話したところ、母からも不思議な話を聞きました。

我が家は代々、女性のみに不思議なものが見えるらしいのです。

私は実体が見え、妹は空気のよどみを感じ、母は声が聞こえるとの事。

母方の祖母も、その姉妹も・・・。

「へぇ~~~~っ」と感心しました。

ちなみに最近のお米さんはたまにしか見かけなくなりました。

私が昼の仕事に転職したことで、パチンコ屋に入り浸らなくなったのが主な原因。

他の店で見かけることも無かったので、あの店に思いが残っている人なのかなぁと感じました。

それでも

「霊じゃない、霊じゃない、人のように見えるだけ・・・」なんてブツブツ言ってる姉ちゃんのほうが怖い・・・と妹に言われている私です。

母の話、妹の話・・・まだまだあるので、それはまた後日。

怖い話投稿:ホラーテラー まるさん  

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