中編3
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鯰の親友

これは高校生の頃の話

心霊スポット巡りが趣味だった俺と友人A、Bは幽霊が出ると噂の沼に行った

なんでも、昔この沼で溺れ死んだ子供がいて、夜中にこの沼で釣りをすると、その霊がもの凄い力で竿を引き、沼に連れていかれるという話だ

俺達はホームセンターで安い釣り竿を買い、早速夜中にその沼に向かった

そして、夜中に釣り竿を垂らし

幽霊が掛かるのを待った…

しかし、どれだけ待っても竿に当たりはない……

俺「ガセネタか……」

A「まぁ、そんなもんかな…」

すでに周りは明るくなり、朝を迎えようとしていた…

新聞配達の原付きが走っている…

そんな時、Bの竿にかなり強い引きが来た

B「おっ、おい!マジかよ!幽霊来たか!!?」

俺「やばい、やばい!おいA!Bの体を支えろ!!!」

あれっ?

そこまで引っ張られないぞ?

Bは多少重いリールを巻いている

B「あれ?これ……」

釣れたのは結構デカい鯰だった…

俺「鯰って……(笑)」

B「いや、初めての釣りだし正直幽霊より嬉しいかも…」

俺達が鯰を釣って盛り上がっていると、後ろからおじさんが話かけて来た

おじさん「また、釣られちまったのか……」

A「おじさん、この鯰知ってるんですか?」

おじさん「あぁ、こいつはこの沼の主だよ」

B「あの、また…ってどうゆう事ですか」

おじさんは、悲しそうな顔をしながら話し始めた…

おじさん「君達は、あの幽霊の噂を聞いて来たんだろ?あの話は全部嘘だよ……」

「実はね、あの噂のモデルになったのは僕の親友なんだ…茂ちゃんといってね、僕たちのリーダー的存在だった…」

おじさんは、ため息をして空を見上げながら続けた

「あの日は大雨が降った次の日だった……、僕たちは沼が増水して危ないと分かっていながら、ここで釣りをしてたんだ……馬鹿だったよ…」

「急に強い風が吹いてね……僕の被っていた帽子が飛ばされてしまった……僕は危ないし大丈夫だからと言って止めたんだけど、茂ちゃんは帽子を取りに行ってくれたんだ……そして…、雨で緩んだ地面に足を滑らせた……」

「僕は怖くなって、すぐに大人を呼びに行ったんだ……僕が助けに行ってれば…、僕に勇気があれば茂ちゃんは……」

「すぐに大人が助け出したんだけど、もう手遅れだった…」

おじさんは涙を流していた…

A「それがこの鯰と関係があるんですか?」

おじさん「茂ちゃんが死んでからこの沼では鯰しか釣れなくなったんだ……他にもブラックバスなんかの魚は沢山いるんだけどね…、絶対に君達が釣ったその鯰しか釣れないんだ…僕は沼の主として他の魚が釣られるのを阻止しているんだと思っているよ…」

「そして、この鯰は茂ちゃんの生まれ変わりだと思うんだ……あの優しい、僕達のリーダーだった茂ちゃんが、生まれ変わって今度は沼の魚を必死に守っていると……鯰を見てごらん?」

俺達はバケツに入った鯰を見た…体には無数の傷があり、鯰の象徴であるヒゲは片方がちぎれている

おじさん「馬鹿げた話だと思うだろ?死んだ友達が鯰に生まれ変わるなんて……でも、悪霊になったなんて思うよりずっと楽だ…」

俺達は鯰を沼に帰した……

なんか分からないけど、AとBがすごく大切に思えた…

おじさんはその事件の後、ずっとジョギングがてら、この沼のゴミ拾いに来てるそうなので、俺達もそれを手伝った

おじさんは「ありがとう」と言い俺達にコーヒーを奢ってくれた

そして俺達は家に帰った…

最初の目的とは違ったが、なんか充実感に包まれた……

次の日、学校で「どうだった?」「何か出た?」などと質問攻めにあったが、俺達は

「何も出なかったし、何も釣れなかった!!だから、あそこには行かない方がいい!」

と、胸を張って答えた

鯰には少しでも長く生きて、あの沼を守ってもらいたいと思う…

HNを見て、気付いた方も居ると思うが、俺(猛壮)が今日思い付いた妄想でした……

ありがとうございました…

怖い話投稿:ホラーテラー 猛壮さん  

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