中編5
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心霊スポットツアー②

始めに、登場人物の名前がややこしいとのお声を頂戴しましたので、真摯に受け止め、AをA男、YをY子の要領で書かせて頂きます。

②は少し長くなると思いますが、最後まで読んで下されば幸いです。

それでは心霊スポットツアー②の始まりです。

T尋坊は車で40分程掛かります。道中も私達6人は怖い話をして雰囲気作りをしていました。

車の中では特にY子とH子が「ギャーギャー」騒いでいました。

しかし目的地が近付くと皆が静かになり、全員が緊張した顔をしていました。

T尋坊は本来、景勝地として全国的にも有名で休みの日には沢山の観光客が訪れます。

私達は観光バスが停める駐車場に車を停め、遊歩道沿いに歩いて行きました。

そして懐中電灯がなかったので、男子3人が持っていたライターで照らしながら歩いて行く事にしました。

しかし・・・

3人とものライターが点かないのです。

私とA男の100円ライターならまだしも、M男のZIPPOまで点かない始末でした。

この時、M男がしきりに「今朝、オイル入れたばかりなのになぁ?」と怪訝そうな顔をしていたのが印象的でした。

仕方なく6人は明かりなしてトボトボ歩いていきます。

幸いにも月明かりがあり、真っ暗ではなかったのでスムーズに歩く事が出来ました。

しばらく遊歩道を歩いていると噂の電話BOXがありました。

その噂とは、この電話BOXは自殺志願者が最後に電話をする事で有名で、BOX内にはテレカや10円玉が常備されており、「命を粗末にするな」的な標語が貼ってあります。

地元の方や役所の方が思い留まらせる為にされているんだと思います。

そのBOXに若い女の幽霊とかおじさんの幽霊とか子供とか、とにかく色んな幽霊が出るとされています。

じゃんけんをして、私とH子がBOX内に入る事になりました。

中でふざけていましたが、特に変わった事は起きませんでした。

その後、また歩いて断崖絶壁を覗いたり、自殺者の死体が潮の関係で流れ着くという島にも行きましたが、結局「なんにもないねぇ。」と言う結論でした。

6人は車に戻り、次の目的地に向かう事にしました。

車の中では「全然たいした事無かったね~。」と口々に言っていました。見栄や虚勢でなく本当に大した事ないというのが皆の本心だったと思います。

次の目的の足○山集合墓地に向けて出発し、しばらくすると、T子が「ライター点けてみて。」と言いました。

男子3人はT子の思惑が瞬時に理解出来ましたし、面白そうと言う事で、半信半疑ながらも「せ~の」でライターを点けてみました。

すると・・・3人とものライターが全て点き、暗い車内を3つの小さな炎が照らしました。

全員「うわあぁぁ~!」となり車内の雰囲気が重くなりました。

それから30分程ひた走り、足○山集合墓地に到着しました。

この山も桜の名所で有名で春先には花見客で賑わいます。

集合墓地は大きく分けて、2つあり「東」と「西」と呼ばれています。私達は「東」の墓地、ギリギリの所に車を停めて、男女ペアで墓地の周りを1周し、目印の為にタバコを置いてくるルールで肝試しを行う事にしました。

ペアは車での配置と同じです。

まずはM男とT子。

霊感組の2人です。

15分程で2人は戻って来ましたが、どうもM男の顔色が良くありません。

理由を聞くと、「何でもない。」の一点張りです。その時は皆、気にするのをやめてA男とH子が出発しました。

20分後、何故かA男はニコニコ顔で戻って来ました。

その理由は簡単に見破れました。A男とH子が手を繋いでいたからです。

恐らく、怖がったH子の方からA男の握ったのでしょう。

そしていよいよ私とY子の番になりました。

Y子は6人の中では1番の怖がり。A男の姿を見ていたので、あわよくば自分も手を繋げるかもと密かに考えながら出発しました。

墓地はビックリするほどの規模で、無数の墓石が立ち並び、まるで私達を睨みつけているようでした。Y子はずっと「怖い怖い。」と怯えていましたが、私は「墓場が怖いんじゃなくて、暗いから怖いだけだよ。心配せんでも何にも出ない。」と言って聞かせていました。

しかし内心はかなりビビッていました。

丘の様になっている墓地の頂上を目指してひさすら上りました。

頂上には○○家と書かれた真っ黒の墓石がありました。3組目の私達は、前の2組のタバコを回収するルールだったのでタバコを探しました。しかし、その真っ黒の墓石にはタバコはありませんでした。

私は頂上の墓石に目印のタバコがあるものと思い込んでいたのです。

タバコを目印にするとルールを決めたのに、どの墓石に置くかまでは決めていませんでした。

きっと前の2組は好き勝手にタバコを置いたのでしょう。

そのまま帰る事も考えましたが、臆病者と罵られても癪なので、必死になって探しました。

Y子は「もう帰ろうよ。」と半泣きでした。私は「もう少しだけ。」と言って目印のタバコを探し続けました。

ようやくタバコを2本とも見つけたのは、1時間以上経ってからでした。

幸いにもタバコは2本同じ所にありました。

A男とH子ペアは偶然にもM男とT子ペアの置いたタバコを見つけて、そこに置いたのでしょう。

皆の所に戻ると、A男から「おせぇ~よ、墓場で愛を育んだのか!?」と冷やかされました。

全員車に乗り込み、また「ここも大した事ない。」と結論付けました。

しかし、M男の表情だけはすぐれていません。そして助手席のT子となにやらヒソヒソ話をしています。

A男と私がM男に向かって「どうしたんだよ?」と問いかけても「う、うん。何でもないよ。」と思わせぶりな返事しかしません。

M男は車を次の目的地である△△ホテルに向けて走らせました。

山道を下り、市内の県道を走り、しばらくして田圃道に差し掛かりました。その間もM男はT子とヒソヒソ話を続けています。

しつこく私がM男に問いかけても、相変わらず生返事です。

A男はM男の浮かない理由にすかっり興味をなくした様子で、隣のH子といちゃつき始めました。

私もそのうち諦めて、Y子と最後尾のシートで、持っていた音楽プレイヤーで流行っていた曲を聴いていました。

プレイヤーのイヤホンを半分こにして聴いていたので、墓地での肝試しよりもドキドキしたのを覚えています。

Y子との至福の時間を堪能していたのも束の間、いきなりM男が車を激しく蛇行運転させました。

後ろの4人は「うわっ!」と悲鳴を上げます。

H子は「M男!ちょっとふざけないでよ!」と半切れです。

それでもM男は蛇行運転をやめません。それどころか、今度は、

「ぎえぇぇ~!!!」

と奇声をあげだしました。後ろの4人はわけもわからず、シートにしがみついて蛇行運転を耐えていました。

心霊スポットツアー③に続く

怖い話投稿:ホラーテラー 現役探偵さん  

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