短編2
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オーダーベル【完結】

オーダーベルの続き

立て続けになった音楽に、センサーの故障だろ?と思う自分がいる一方、もしかして幽霊?と最悪の事態を考える自分もいました。

そして私の出した結論は、

【怖いけど玄関まで行って、この目で確認する】

でした。

恐る恐る玄関に近付き、なるべく足音が鳴らないように擦り足で歩きました。

「ティントン♪ティントン♪ティントーン♪ティントントントントン♪」

今度はセンサーが私自身に反応して音楽が鳴りました。

センサーの故障でもないようです。

かと言って、恐れていた存在のせいでもないようです。

取りあえず事務所に戻ろうと、玄関に背を向けた時です。

「ティントン♪ティントン♪ティントーン♪ティントントントントン♪」

私を嘲笑うかの様にまた音楽が鳴りました。

私は一目散に事務所まで逃げました。

最悪だったのが、そのまま着替えて帰りたかったのですが、まだ入力作業が途中だったのです。

渋々、パソコンに向かいます。

音に怯えながら、入力作業を続けます。

キーボードにタッチする音も気になった為、人差し指1本で数字を打ち込みました。

あと少しで仕事が終わる!と言う時でした。

「ガラガラッ ガタッ」

と厨房の方から音がしました。

うわぁ~今度はなんだよと思いましたが、それは製氷機が受け皿に氷を排出する音でした。

さっきの音楽のせいで、どうやら神経が過敏になっているようです。

やっとの思いで入力作業を終え、すぐさま更衣室でスーツに着替えていた時でした。

「ピンポーン」

紛れも無い、オーダーベルの音でした。

日常であるはずの職場が非日常の物になってしまいました。

【人間が本気で怖い時は、声も出ないし、すぐに逃げる事も出来ない】と誰かが言っていた意味がよくわかりました。

しばらく固まっていた私は、取りあえずスーツに着替え終える事を選択しました。

またオーダーベルが鳴るんじゃないかと思っていましたが、今だ2回目のベルは鳴りません。

「よし、今のうち帰ろう!」

自分に言い聞かせ、事務所を後にしました。

そして足早に玄関に向かいました。

その時、私は見てはいけない物を見てしまったのです。

それはオーダーベルを鳴らしたテーブルの番号を表示する「電光掲示板」

その電光掲示板には…

「25」

と表示されていました。

私は無視して玄関から出て、駐車場に停めてある自分の車までダッシュしました。

テーブル25番なんて、私の店にはないんです…

怖い話投稿:ホラーテラー 現役探偵さん  

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