中編3
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家での話

これは私が中学生くらいの時に住んでいた家での話です。

それまで日常的に霊は見えていたんですが、見えているだけで特別何も怖い体験はしていませんでした。

しかし、その家に引越してきてからは違いました。

その家に引越しが決まってから、見えている霊が変わっていったのです。

帰宅中に不自然な形をした女が追いかけてきたり、家のベランダに人がたくさんいて窓を叩かれたりかなり辛い思いをしていました。

そんなことを我慢する日々が続き、精神的に

かなりまいっていました。

引っ越せたら何か変わるかなー・・・何て根拠のない考えに頼って我慢していく日々が続き、ついに引越しの日がやってきました。

いざ引越してみると、夜な夜な階段を上り下りする音が聞こえるのです。

それだけなら我慢できるのですが、日に日にその音が自分の部屋に近づいてきているのを感じるんです。

ついには部屋のドアをノックするまでに近づいてきました。

もう流石に怖くなり、部屋の前に盛り塩をすようにしたところ、毎日聞こえてた音が急にきこえなくなりました。

やっと落ち着けると思い始めていたころの深夜。

夜中に目が覚めてしまった私は、天井を見つめながらボーっとしていました。

すると、エアコンから何やら黒い影がでてきたのです。

それと同時に動けなくなる私。

仕方なくその『何か』を凝視していると、それが人の頭だと気づいたのです。

その頭は髪が長い女性のようで、首だけが激しく回転しながら壁に消えていきました。

「なんだあれ・・・怖すぎる!早く朝になってくれ・・・」と思いながら目をつぶっていると、また体が動かなくなり、今度は目も開けられなくなりました。

私はもう生きた心地がせず、「勘弁してくれ!勘弁してくれ!」と祈り続けていると、部屋のドアのほうから何かが近づいてくる気配を感じたのです。

その気配は私の隣までくると、ベッドを軋ませ始めました。

そして、ベッドの軋みに合わせて「ザッ・・・ザッ・・・ザッ」と、土を掘るような音が聞こえるんです。

そのまま何分たったでしょうか、その気配から、「ない・・・」と一言聞こえたと思うと、私は動けるようになり、気配も消えていました。

私は慌てて起き上がると、電気をつけました。

電気をつけた私は、ベッドを見て愕然としました。

私が寝ていたところのすぐ横に、無数の傷がついていたのです。

その傷はよく見ると爪でひっかいたような傷でした(5個か4個の傷がワンセットになっていたので、そう思いました)

もう怖くてたまらなくなった私は、携帯でもいじりながら朝を待とうと決め、携帯を手に取ったのですが、充電していたはずの携帯の電源がつかないのです。

不思議に思いましたが、仕方なく充電器を探すと、どうやら一階のリビングに置き忘れてきているようで、部屋にはありません。

部屋から出るのも怖かったのですが、一階のリビングに向かうことにしました。

リビングで充電器を取り、ズボンのけつポケットにいれ、急いで部屋に帰ろうと階段に足をかけた時に視界の両隅に何かが見えました。

それは私の頭の頭上、2mくらいの位置から私を見下ろしている二つの女性の顔でした。

もう半泣きの私は走って階段をのぼろうとしたそのとき、ポケットにいれていた充電器がリビングのほうにすっ飛んでいきました。

振り返るとさっきの二つの顔が充電器を一瞥し、私を見てニターと笑うのです。

もう恐怖も限界に達した私は、部屋で朝まで震え続けていました。

それからはその日ほどの怖い体験はしませんでしたが、その家から引っ越すまで怖い体験を何度もすることになったのです。

その家が原因なのか、それとも何か別の理由があったのか。

私にはわかりませんが、引っ越してからは自宅で集中的に怖い思いをすることもなくなりました。

怖い話投稿:ホラーテラー 李欧さん

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