短編2
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背後の気配

俺は、とある商品を扱う大手企業の営業をしている 

大手の営業会社だが、店は構えていない。

毎日100人ほどの営業マンが、訪販(訪問販売)を行い、商品を提携しているわけだ。

一般に個人宅に飛び込み営業するにあたり、色んなことを経験する。

俺がこの厳しい営業の世界をやり始めて3年目になるある日、いつものように市場へ向かった。

多家族が住んでそうな旧家が建ち並ぶ田舎だ。

1軒玄関叩き、断られ、また1軒と同じことの地道な作業を繰り返す。田舎の旧家は大抵玄関の鍵はかかっていない。

何軒目だろうか、門構えの大きな松の木が生え、それを潜るとかなり広い庭に池がある大きな屋敷の玄関へ向かった。

玄関はやはりかかっていない様子だ 俺は古い玄関扉を横へスライドさせた。

「こんにちはー!」

家の中はシンとしていて人の気配がない

こういったことは日常茶飯事だが、少し待ってトイレから出てきたり、2階から降りてくるパターンもあるので、俺はもう少し粘ってみることにした。

「ごめんくださーい!」

やはり返事はなく、気配もないので諦めて扉を閉めようとしたそのとき、

俺は真後ろに気配を覚えて慌てて振り向いた。

が、誰も居らず、気のせいかぁなんて思いながらまた玄関扉のほうへ体を向け扉を閉めようとしたそのとき、俺は腰を抜かしそうになった!

暗い玄関に、さっきまで確かにいなかったお婆さんが正座しながら俯いてるのだ。

いつの間に!?

俺はビビッた。

たった一瞬後ろへ振り向いた時間に、この長い廊下を、お婆さんがここに移動できるはずがないし、音もなくまさに瞬間移動してきたかのようだ。

俺は気味悪かったが仕事なので軽く挨拶してみた。

「こんにちは、お婆ちゃん!」

続きます。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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