短編2
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深夜のお客様

俺が以前パチンコ店で働いていた時の話です。

俺はパチンコ店の正社員(新入社員)で、寮生活をしていた。

その寮というのは、「店の二階」にある独身寮で、当然下は ホールである。

ある日のこと

夜勤が終わり部屋に戻った俺は、仕事の後の一杯を楽しんでいた。深夜であった為、テレビもろくなのやってなかったので、DVDを観ることにした。

立ち上がり、テレビのスイッチを入れようとしたまさにその時……

「デデデ…デッテレー」と聞こえた気がした…(ジャグラーのコイン投入音とスタート音と思って下さい)

あれ?と思って更に耳を澄ますと…

「デデデ…デッテレー」とまた聞こえてきた…

その時間は、既に従業員は帰宅しており、ホールに人が居ることが有り得なかった。

怖くなった俺は、靴も履かず隣の先輩の部屋に駆け込んだ。

そして「せ…先輩、ヤバイっす…まじヤバイっす…」

と息を切らしながら言うと、先輩は「ほれ!落ち着いて水でも飲め」とコップに入った水を差し出してくれた。

俺はその水を一気に空け、ふぅ…と深呼吸し「先輩…じつはい…」と言いかけたところで、先輩が「解ってるよ!ジャグラーだろう?」と言った。

「俺にも聞こえてるよ…そうか、お前にまだ話してなかったなぁ…」と言うと「良い機会だ!付いて来い!」と言われ、何がなんだか分からないまま先輩について行った…

その間もジャグラーの音は聞こえていたが、ホールに近づくにつれその音も大きくなっていく…

俺は、怖くてガタガタ震えていたが、先輩が「ほら!見てみろ!」と指をさした…

恐る恐る、先輩の指さす方向を見ると…

全ての遊技台は電源が落ちているのに、その一台だけ違った…しかも、そこにはお爺さんが座ってるのである…

俺は「せせせ…先輩!なな…なんすか?あの爺さん…」

すると「おっ!お前見えるのか?」と言う。先輩には勝手に動くジャグラーしか見えてないとのことでした。

先輩はこう言いました「あの台な…お前が入社前に毎日打ちに来てる爺さんがいてな…いつもあの台に座ってたんだ…けど、お前が入社するちょっと前に突然来なくなったんだ…他の客から後になって聞いたんだけど、ここへ来る途中、車に跳ねられて…即死だったそうなんだ…死んでも、打ちに来てくれてるんだよ…」

俺は、少し悲しくなった…

翌日から、爺さんの台は特に力を入れて掃除してあげた…

終わりです。読んでくれてアリガトウ。

怖い話投稿:ホラーテラー エアコンさん  

Concrete
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